人工の遺物以外に動物、植物、鉱物など生活に関連する資料が遺跡から出土する。貝塚から出土する人工遺物以外の貝殻なども自然遺物で、当時の人間が意識的に採集したものである。煉瓦台の2号貝塚は純貝層が厚く、250立方センチメートルの貝殻を採掘して分類してみると、ハマグリが65%と最も多く、アサリ26%、シオフキ8%がこれに続き、その他ではカガミガイ、ツメタガイ、イソマイガイ、タマキビなどがわずかにある。ハマグリは殻高が6から7.6センチメートル、殻長7.4から10.5センチメートルと現在では想像できないほど大きい。湯川貝塚や天祐寺貝塚(アサリ坂貝塚の一部)の貝もこれと大差がない。この3か所の貝塚を構成する貝の種類はエゾアワビ、エゾタマキビ、タマキビ、ツメタガイ、エゾタマガイ、アカニシ、イボニシ、エゾチヂミボラ、ヒメエゾボラ、アカガイ、エゾギンチャク、アカザラガイ、ホタテガイ、カキ、ハマグリ、カガミガイ、アサリ、ヒメアサリ、シオフキ、ウバガイ、サラガイの21種類である。煉瓦台貝塚の獣骨類は、エゾシカの四肢(し)骨、頭骨、角、下顎(がつ)骨、トドの脊椎(せきつい)骨、腕(わん)骨、オットセイとアザラシの下顎骨、クジラの脊椎骨、エゾオオカミと思われる頭骨で、エゾシカがほとんどを占める。クマの骨格は貝塚では発見されていない。この時代の動物のうちで人間が捕えたり食べたりすることがタブー(禁忌)とみなされたものもあったであろう。その他では鳥類と魚類の骨格が出土している。