この間、松前藩では中央権力者から得た蝦夷地交易の独占権をもって、しだいに近世大名としての確立を進めてきており、その具体的な重点政策としてとったのは、松前三港の設定と沖ノ口政策である。箱館・福山(松前)・江差の各港は、近世以前から蝦夷地の有力な交易港として発達しつつあったが、松前藩の成立とともに、藩権力をもって大名知行権の有力な実現手段として、三港以外での交易を禁じた、いわゆる交易指定港という性格を付与され、以後藩財政を支える重要な役割を果たしていくことになった。そしてこの三港には、船舶・積荷・旅人を検断して、規定の税を徴収する沖ノ口番所が設置された。