写真撮影

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遠藤又左衛門とその従者

 また、箱館の人々を驚かせたものに、黒人と写真がある。すなわち、4月26日「二、三名の黒人どもは、店の近くに立っていて、遠藤(又左衛門)を驚かした。彼はクロンボはどんなものであるか知らなかったので、顔を塗っているのではないかと、幾度も尋ねた。」と、『ペリー日本遠征日誌』に記され、写真については4月28日、「朝に遠藤と石塚官蔵は肖像写真をとってもらった。彼らは彼ら自身と、背後に槍を持ち、帽子をかぶり、特殊な鎧を着た家来どもをしたがえている乾板を見て非常に喜こんだ。写真術について今まで聞いたことのあるものは、この地に誰もいなかった。珍らしさと驚嘆と喜びは、彼らの態度と問答の中に等しくあらわれていた。」(前同)とあるが、これはペリーに随行したブラウンが撮影したもので、現存するものでは、この2人の外に松前勘解由とその従者で撮ったものがある。
 このほか写真については、「廿三、四日(四月)頃より、実行寺へ上陸のもの両三人これあり、このもの等絵図面方と見得たり。すべて絵図面取候には鏡を立候得ば、其鏡に絵図面人物に拘らず、鏡に其侭相移(写)り、其場より鏡取候ても移(写)り候もの鏡より取れず候由、若し哉、魔術かとの市中の噂。人物移(写)され候御方、御城下御役人両三人、御当所御役人一両人、山之上町上田屋稲蔵娘一人、小住と申す茶屋の婦人一人、同職の婦人一人、都合三人、外に移(写)され候ものこれあり候由にて候得共、名前存ぜず。」(『亜墨利加一条写』)というようにかなり多くの写真が撮られているらしく、まさに魔法使いのような驚異に目をみはっている。