町会所の組織構成

327 / 1505ページ
 前述の通り町会所の責任者は、江戸時代の町年寄名主が開拓使により明治2(1869)年11月、大年寄・中年寄と改められ、さらに明治5年2月、大区制導入により戸長・副戸長となった。このとき函館は3大区となり、大区には戸長1名、副戸長2名が配置され、これを統括する者として総長(のち区長と改称)が置かれることになり、11年4月に14大区戸長の常野与兵衛が初めて3大区の区長に任命された。町会所は区長・戸長・副戸長体制となったのである。もっともこのときは、前年末の町会所行革のあおりで戸長は罷免され1人もいなかった。その後7月26日には副戸長がすべて戸長と改称された。1等戸長、2等戸長という形をとり、事務分担も明確化し、専務制(表2-28)が敷かれた。
 この戸長が大区事務所である区務所にあって大区を統括するというのが大小区制の基本形であるが、函館にあっては、その事務を町会所内で一括する体制であった。
 
 表2-28 町会所事務分担表(明治12年中期)
事務内容
担当者
 
出納・用度・租税・営繕・共有物
1等戸長兼務 山崎清吉
2等戸長専務 上田武左衛門
2等戸長専務 伊藤重兵衛
地券・地理・家屋・船舶・駅逓1等戸長専務 安浪次郎吉
2等戸長専務 工藤弥兵衛
 
戸籍・賑恤・逓送人・育児・賞与
1等戸長専務 杉野源次郎
2等戸長専務 林宇三郎
2等戸長専務 畑野仁平治
学事・勧業・記録・衛生1等戸長専務 興村忠兵衛
2等戸長専務 白鳥宇兵衛
三業・女紅場2等戸長専務 枚田要蔵
1等戸長兼務 山崎清吉

 「桜庭為四郎文書」北海道立図書館蔵より作成