明治35年の倉庫業

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 商法施行後、明治35年3月末現在の函館の倉庫の状況が、『北海道倉庫業』に出ている。それによると、税関設備の倉庫、上屋は表5-6の通りである。木造の上屋は、税関構内の両側に1棟ずつあって東上屋は輸出貨物、西上屋は輸入貨物の置場として利用された(『北海道開港・外国貿易機関之状況』)。
 一方、保管倉庫は函館倉庫業組合に加盟するもの9名、加盟せざるもの1名で、34年12月現在では表5-7の通りである。
 また34年以降37年にかけて営業倉庫の新設が著しいものとなり、37年現在と34年とを比較すると7棟、3459坪余と30数パーセントの増加をみている。これらのうちで特に柳田藤吉の経営する柳田倉庫の躍進ぶりにめざましいものがあった(『北海道開港・外国貿易機関之状況』)。
 またこういった営業倉庫の外に、表5-8にあるように、運送業に伴って設備された倉庫や外国貿易の貨物のための倉庫などもあった。なお、こうした傾向について前掲書では北海道鉄道会社が若松町埋め立て地に付属倉庫を建築する予定であると述べ、「近キ将来ニ於テ益々本区ノ面目ヲ一新スルヤ疑ヲ入レザルナリ」と結んでいる。
 
 表5-6 税関倉庫および上屋一覧
種 類
構造
棟数
坪数
摘  要
官設保税倉庫
石造
1
30
保税倉庫の一部分を収容倉庫の置場に充当.
また庶庫として貸与するが入用の場合には何時でも
保税倉庫に供するを得る
収容倉庫
庶庫
60
東上屋
木造柾葺
1
132
内18坪は旅具検査場
西上屋
木造瓦葺
1
120
内24坪は貨物検査場
 

3

342
 

 『北海道倉庫業』より
 
 表5-7 保管倉庫一覧
No
倉庫名
所在地
煉瓦造
石造
土造
木造
合計
坪 数
坪 数
坪 数
坪 数
坪 数
1
西出左衛門倉庫弁天町20
1
56
0
0
1
33
1
147
3
236
2
辻快三倉庫仲浜町3
8
903
1
95
1
114
0
0
10
1,112
3
藤野四郎兵衛倉庫同8
2
422
0
0
0
0
0
0
2
422
4
函館汽船株式会社倉庫船場町21
2
208
0
0
0
0
0
0
2
208
5
渡辺熊四郎倉庫同2及6-9
8
1,221
0
0
2
70
9
643
19
1,934
6
北海道共同株式会社倉庫豊川町56
1
147
0
0
0
0
5
847
6
994
7
安田商事合名会社倉庫同56
7
696
0
0
0
0
9
574
16
1,270
8
山県勇三郎倉庫同57
3
248
0
0
0
0
1
40
4
288
9
竜紋、山田啓助倉庫真砂町8
1
275
0
0
0
0
5
880
6
1,155
 
 
33
4,176
1
95
4
217
30
3,131
68
7,619
柳田藤吉倉庫弁天町1
1
756
0
0
0
0
0
0
1
756
合計 
34
4,932
1
95
4
127
30
3,131
49
8,375

 『北海道倉庫業』より
 坪未満は四捨五入。柳田倉庫は明治34年8月落成
 北海道共同株式会社木造倉庫のうち4棟697坪は石炭庫
 函館倉庫業組合加盟(No.1-9)の倉庫は西部から順に表記、ただし*は組合未加盟
 
 表5-8 営業倉庫以外の倉庫一覧
No
倉庫名
所在地
煉瓦造
石造
土造
木造
合計
坪数
坪数
坪数
坪数
坪数
1
日本郵船(株)倉庫船場町
4
1,442
0
0
0
0
2
300
13
1,742
2
英商ハウル社倉庫仲浜町
2
109
3
213
0
0
1
40
6
362
3
同上倉庫船場町
2
243
0
0
0
0
2
122
4
365
4
英人スコット倉庫仲浜町
3
275
0
0
0
0
0
0
3
275
5
杉野三次郎倉庫幸町
0
0
0
0
0
0
2
64
2
64
6
国領平七倉庫弁天町
0
0
0
0
6
92
0
0
6
92
7
久保彦助倉庫弁天町
0
0
0
0
2
48
1
52
3
100
8
田中正右衛門倉庫西浜町
0
0
0
0
1
20
0
0
1
20
9
同  上仲浜町
0
0
0
0
1
46
0
0
1
46
10
高森忠蔵倉庫船場町
2
92
0
0
0
0
0
0
2
92
11
谷津菊右衛門倉庫船場町
1
17
0
0
2
30
2
93
5
140
12
同  上鶴岡町
0
0
0
0
0
0
1
140
1
140
13
日銀函館支店倉庫豊川町
0
0
0
0
0
0
4
402
4
402
14
田中正右衛門倉庫鶴岡町
0
0
0
0
0
0
4
192
4
192
 合  計 
21
2,178
3
213
12
236
19
1,405
55
4,032

 『北海道倉庫業』より
 坪未満四捨五入
 谷津所有倉庫の内船場町の1棟77坪及び鶴岡町の1棟40坪は石炭庫、日本郵船倉庫は、一時貨物を庫入するもの
 英人ハウル社倉庫は専ら輸出入貨物を庫入するもの、その他は賃貸倉庫として須要の位置にあるもの自家用(いわゆる店蔵)は除く