日本銀行函館出張所 『実利実益 北海道案内』より
日銀は明治15年10月に開業後、業務の増加にともなう組織の改正が必要になってきた。明治19年4月23日、日銀は「国庫事務ノ取扱ヲ円滑ニシ兌換券流通ノ道ヲ便ニシ且金融ノ疎通ヲ謀リ金利ノ平衡ヲ得セシムル」(『日本銀行沿革史』第1輯第1巻)ため、長崎・函館・新潟・神戸・横浜・赤間関(下関)・名古屋・仙台の8か所に漸次支店を設けることを大蔵大臣に請願し(6月16日に再願)、6月23日、願いの趣を聞き届けられた。その際、支店設置の場所等を速やかに調査のうえ再度願い出るよう指示されたが、明治24年4月1日には札幌・函館・根室に出張所を設けたものの、支店設置の運びに至らなかった(『日本銀行百年史』第1巻)。
ここに日本銀行が北海道に出張所を設けて、初めて本道と直接の関係を有するようになった。この時、三井銀行本道各支店との代理契約を解き、国庫金の保管出納、諸公債に関する事務取扱並に為替業務を営むため、札幌、函館、根室、室蘭等に出張所、小樽に派出所を開設した(『北海道金融史』)。