新第三紀層

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 恵山火山の直接の基底は、大部分が新第三系の絵紙山層で、同じく新第三系の古武井層および木直層が恵山火山の西方に分布している(勝井ほか、1983)。
 
古武井層(Kb)
 古武井層(藤原・国府谷、1969)は、主として泥岩・硬質頁岩からなり、隣接地域の汐泊川層(長谷川・鈴木、1994、庄谷・高橋、1967)に相当し、主として岩相から、北海道西南部に広く分布する八雲層に対比されている。古武井層は、本地域では西南部の古武井山背泊古武井川下流などに分布し、硬質頁岩を主体として灰白〜淡緑色の凝灰岩を介在している。山背泊漁港背後の崖では古武井層上部の凝灰岩相の部分に珪藻土がみられる。この珪藻土からは約40種の珪藻化石が認められている(押手、1950・1951)。
 
絵紙山層(Eg)および木直層(Kn)
 藤原・国府谷(1969)は、古武井層の上位に一部指向関係で整合に被覆する凝灰岩・凝灰岩質砂岩・凝灰岩質角礫岩・火山角礫岩などからなる地層を、絵紙山火山角礫岩層と命名している。これは層序・岩相から北海道西南部の黒松内層および隣接する尾札部地域の木直層(安山岩溶岩・火山角礫岩からなる層、庄谷・高橋、1967)に対比されるものと考えられ、模式地である絵紙山では、下位に砂岩・凝灰岩質砂岩・凝灰岩・凝灰角礫岩などの互層、上位に安山岩溶岩・火山角礫岩が発達している。そのため勝井ほか(1983)では、下位層を絵紙山層、上位層を木直層と呼んでいる。絵紙山層は絵紙山から古武井、御崎海岸、八幡川上流などに、恵山火山の直接の基盤をつくってやや広く分布する。古武井付近では凝灰岩と凝灰角礫岩の乱堆積がみられる。木直層は恵山地域の北西隅から北西方向に広く分布する。おもに石英を含む紫蘇輝石普通輝石安山岩の溶岩と火山角礫岩からなり、上位に凝灰岩質砂岩・凝灰角礫岩を挟在する。