「運上屋」とは、場所請負制の運営組織が置かれた事務所である。ここには「場所」全体の管理・運営・商取引きを仕切る場所責任者の支配人、その下に、通辞(アイヌ語の通訳)・帳役(諸記録係)・番人(番屋管理人)の専門役が置かれ、場所経営を行っていた。
運上屋は事務所であると同時に関係者や旅人の宿泊所であり、生活物資・漁業資材の貯蔵庫、収獲物の貯蔵庫であり、直接商取引の場ともなる機能的にも規模的にも相当なスケールの建物で、立地条件も当然考慮されたと推察する。後に藩の役人の事務所も兼ね会所(現在の町役場)と改称され、文字通りその「場所」の経済と行政の拠点となった。
それぞれの「場所」の集落形態は、この運上屋・付属の建物を中心に形作られていったものと思われる。