古武井硫黄鉱山の位置は、古武井川の上流、約8キロメートル~9キロメートル、丸山(691メートル)の西南西約1キロメートル~2キロメートル、標高約250メートル~300メートルの広範囲に存在する。
古武井川は延長13、4キロメートルの小河川であるが、いくつもの支流を集め水量も多く、大滝小滝と呼ばれる景勝も見られる。また、河口のごく狭い部分の平地を除き、川岸は殆ど急峻な崖を形成していて、杣夫(そまふ)か猟師が川筋や獣道をたどり入山するぐらいであった。
鉱床の発見が比較的遅かったのもこういった地理的な条件によるものであったと思われる。従って、鉱山の開発には道路の整備に相当の資本が投資された。この事は地図2をみても理解出来る。操業時は、鉱山まで海岸より軽便鉄道(馬による牽引)が敷かれ、南茅部の木直・古部、椴法華までの道路も整備され、鉱石や製品の運搬は勿論のこと、鉱山関係者や商目的の人々の往来も相当あったものと推定される。これらの道路網は鉱山閉鎖後も林道や間道として整備され利用されてきたが、平成7年(1995)の集中豪雨により7曲(地名地図2参照)から上流は道路が寸断されている。
地理的概況については、現況地図1『恵山町全図 5万分の1』と、古武井硫黄鉱山地図2『渡嶋国丸山四近地質図2万分の1』を参照。なお地図2は明治30年後半か40年初めに鉱山用として製作されたもので、地名は当時の鉱山事務所での呼称もある。