尻岸内への物資の移出入『尻岸内村累年統計・大正3年~同7年』より

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 尻岸内村沿革史の累年統計の物資輸出(移出)輸入(移入)表から、大正初期、尻岸内に移入された物資・移出された産物を品種別に記し、当時の海運による流通の盛況ぶりを展望してみる。なお、併せて大正4・5・6年の移入・移出別取扱い合計金額を記す。
 
〈移出された物資・産物の品目〉
 鮮魚類(タラ・ブリ・カレイ・マグロ・カスベ・サメ・メヌキ・タイ・イワシ・ホッケ・ソイ・アブラコ・ホッケ・ガヤ・オヒョウ・サバ・タコ・ウニ・イカ・ナマコ)
 加工品(スルメ・開鱈・塩鱈・乾鰛・塩鰛・鱈ノ子・鰛粕・鰈粕・雑魚粕・鰛油・鰈油・その他の魚油)
 海藻類(長昆布・元揃昆布・手繰昆布・駄昆布・布海苔・銀杏草)
 硫黄・原砿硫黄(金額 大正四年九〇、五三九円、同五年一三〇、二〇〇円、同六年 四四、五五四円 )
〈合計金額〉 大正四年 二〇九、三六八円、同五年 四五六、二八六円、同六年 五一一、六七九円
 
〈移入された物資の品目〉
 白米・もち米・大麦・燕麦・大豆・小豆・玉葱・林檎・鰹節・塩鮭・塩鱒・食塩・酢・牛肉・豚肉・缶詰類・小麦粉・片栗粉・晒餡・麺類・菓子類・砂糖・茶・醤油・味噌・漬物類・清酒・ビール・洋酒・煙草・マッチ・呉服太物・綿類・毛布・古着類・糸類・衣服付属品・帽子・靴類・下駄類・洋傘・和洋小間物類・柳行李・畳・畳表・障子・漆器・陶磁器・硝子器・家具類・紙類・文房具・書籍類・度量衡(秤)・薬品・石鹸・ミルク・蝋燭・菜種油・石油・漁網・綱類・船具・農具・釘・金物類・鍋釜類・鉄管・土管・煉瓦・柾木舞・板類・木材・縄・ムシロ類・革類・木炭・石炭・雑貨・崩箱等
〈合計金額〉 大正四年 一七七、〇五三円、同五年 二八〇、六八四円、同六年 三六六、六五〇円
 
 移入された品目・移出された産物ともに相当な品目である。船舶による輸送であるからこそ可能であったと思われる。これら移入品目から当時の日常生活の豊かさ、産物については鮮魚類の豊富さ、加工品の種別の多様さが目につき漁業の盛況ぶりがが窺える。
 金額的には移出が移入を上回っている。内、硫黄の占める金額が目立つが、古武井硫黄鉱山は大正6年生産を終え翌年閉山となる。以降、その年の漁獲(特に鰛漁・鰛粕の生産高)により、移出高は大きく変動する。
 参考までに尻岸内村の歳入、大正4年9,948円、同5年8,693円、同6年9,717円。