・この年春、西海岸鰊大不漁のため、その後江差方面の商工業者及び漁業家の中に奥地に移住する者ありと云われる。
・三月二十八日 北海道地方費法の公布により従来国税であった水産税が地方税に移される。四月一日施行となる。(水産税は水産物採取又は製造を営む者に課するものと定められていた)
・同日、北海道会法が公布される。
この法令により北海道会が開設されたが、他府県に比較すれば組織は異なり、権限は非常にせまいものであった。おおまかに云えば主な仕事としては、地方費用の収入支出について評議することであり、これとても北海道庁が種々の監督権を有しており、議会に制限を加えることが出来るように定められていた。
北海道会議員の選挙権は、三年以上その土地に居住する二十五歳以上の男子で、直接国税三円以上を三年以上納めている者、又は四町歩以上の土地を三年以上所有する者と定められていた。
また被選挙権は、直接国税十円以上又は土地所有十五町歩以上の者に与えられており任期は三年であった。
・四月一日 北海道の直接国税を地租・所得税・営業税と定める。
・四月十二日 漁業法公布。(明治三十五年七月一日より施行)
・五月一日 椴法華小学校補習科附設認可される。
・六月 真宗大谷派布教を開始する。
・七月一日 恵山汽船株式会社創立。
函館板村祐吉所有の渡島丸(八十六屯)と第一丸(四十屯)を使用し、下海岸諸港(主として尻岸内・古武井)の貨物輸送にあたる。この他にも下海岸には当時自称定期船と称する民間船の往来があり、貨物が多い場合には航路が変更されることがあった。
・八月十日 第一回通常道会選挙が実施される。定員三十五名・立候補者六十九人・有権者一万二千六百三十五人。
・八月 米価暴騰する。
・十月二十五日 北海道第一回通常会開会。
・十二月十日 田中正造、足尾鉱毒事件につき天皇に直訴。
・この年、椴法華村夏鰮不漁、その後秋鰮漁の準備不充分であったところへ、鰮押し寄せ大豊漁となる。このため各種漁業用資材不足し天手古舞となる。
・この年、椴法華浄土宗説教所仏事を営む。
・この年八月 与謝野晶子の『みだれ髪』が発行され、当時の青年男女に新しい生き方として種々の影響を与える。
・この年、滝廉太郎作曲・東くめ作詞の『はとぽっぽ』、幼稚園唱歌におさめられる。
・明治三十三年より三十四年にかけて、啞蟬(あぜん)坊・横江鉄石の『東雲節』が全国に流行する。