明治四十四年

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・一月二十日 椴法華教育会開設される。
 この会は函館支庁のあと押しにより結成されたもので、教育行政への協力と学事奨励を主な目的としており、具体的な行動としては貧困学童の保護・小学校児童の出席奨励・成績品展覧会の開催その他優秀児童の表彰などを行っていた。また構成員は村長・小学校長・村有志・教職員で、費用は会費と村からの補助金によりまかなわれていた。
・二月十五日 椴法華村相の一歳の男の子がジフテリアにかかり隔離され、更に同月中に元村でジフテリアが発生、一名が死亡する。このため村全体の大消毒が実施される。
・五月三日 北海道紋別郡沢木村に大山火事発生。この時二十日間延焼し、山林二十七万町歩と家三千余戸を焼失する。(資料明治百年・朝日新聞社編より)
・五月十三日 この日午後三時姥岱奥俗称泣面山東面一部無木笹原の所より発火。当日霧のため消火に困難を極める。延焼面積四万五千坪立木百本(函館日日新聞では四万五千坪焼失、函館毎日新聞では五千坪焼失と記している)その後再度焼えはじめ、函館日日新聞の第二報によれば、十七日午後二時姥岱発火一町歩焼失と報じられている。
 この他五月は異常乾燥気候のため山火事が多発し、七飯・大野・上磯・森・尾札部臼尻などでも発生していた。
・七月二十六日 道南一帯豪雨に襲われる。
・八月一日 藤木倉蔵、弁才間(戸井)で乗合馬車を開業。戸井・湯川間を往復する。
 この頃下海岸地域では鰮豊漁が続き、漁民のふところがあたたかく利用客がかなり有ったと云われている。
・八月二十日 皇太子殿下、本道行啓のため函館に上陸する。
・八月 皇太子殿下行啓記念行事として椴法華村では、鮑繁殖のため四十四年度より三年間毎年鮑一千貝を放養することを決定。椴法華八幡宮境内に赤松三十本・雑木三十本を記念植樹する。大竜寺境内百六十五坪に杉二百五十本、松二百五十本を植栽し寺費をもって維持する。
・九月十八日 彗星現われる。同日午後十時三十分道南地方ではじめて肉眼で見られる。この時彗星が近づくと一時的に地球上の空気が無くなるとか、地球と衝突するとか種々のうわさが乱れ飛ぶ。
・九月二十七日 矢尻浜に腸チフス一名発生隔離される。
・十二月 椴法華鰮大漁。
 
    十二月二日 函館新聞の記事より
   椴法華近海は目下潮位の加減により多大なる鰮群の密集する所となり全村こぞって漁獲にいそぎつつあるも突然のこととて収漁準備に欠く所あり為めに大恐徨を来しつつありて箱並に塩の急輸送を当地(函館)へ依頼し来れり。
 
・十二月二十日 椴法華郵便局、矢尻浜一番地に局舎を設ける。(旧役場向い)
・この年、函館・古武井間馬車開通。
・この年あたり、〓白府、艀船業を椴法華村で開業する。
・この年、フランス犯罪映画『ジゴマ』日本全国で大評判となる。
・この年『立川文庫』刊行開始。