明治六年尾札部村から椴法華の漁場に出稼に来ていた飯田与五左衛門雇の漁場関係者は、漁期が終了したので漁獲物・漁具等を持ち帰るため、青森県の船を雇い椴法華沖に碇泊させ筒替船及び持府船で、陸から沖の元船へ積み荷を運搬しようとしていた。椴法華を出た両船は沖の船に到着し積荷を元船に積み替えようとした時、急に大風雨となり、筒替船・持府船の乗組員はやっとのことで元船に乗り移ることができたが、筒替船・持府船は積荷を乗せたまま流失してしまうという事故が発生した。
『明治六年戸井往復』(北海道蔵)はこの時の事件を次のように記している。
明治六年 戸井往復
民事課
御届書 椴法花
乍恐以書面御届奉申上候
青森縣管轄陸奥國同郡大間村熊谷權四郎手舟
一 天一丸、鰤百八石四斗弐升三合積
右船頭
青森縣管轄陸奥國大間村 武内安五郎 爪印
酉廿八
(中略)
右舩當十弐月五日函館出帆仕同日午後二字頃茅部郡椴法花村江着舟仕翌六日滞舟同七日明六ツ頃同郡尾札部村飯田與五左衛門出稼荷物、鰤八拾六石弐斗五升丈右與五左衛門漁舟持府壱艘筒替壱艘江積入元舩天一丸江積移し手配ニ而別紙江取調中申上雇拾人椴法華海岸出帆為致候所晴天俄ニ風雨酉申方之大風と相成迚も登陸難及右人足元舩江乗込筒替并ニ持府共乗捨行跡不相知候ニ付近郡近村相糺候共行衛不相知候ニ付乍恐以連印此段御届奉申上候以上
明治六年
第十弐月廿日 天一丸荷主
茅部郡尾札部村
飯田與五左衛門
同枝郷椴法花村用掛
川口 勝次郎
増役
佐々木 家平
同村用掛
佐々木 久七
同
佐々木 弥三郎
戸井邨
御出張所