方言に変化がおこった。
昭和三〇年代になるとラジオからテレビ時代に入った。茶の間に映像をとおして全国のことばが、とくに共通語の番組が視聴できるようになった。テレビは豊富な言語体験を画像と音声一致して茶の間に提供してくれた。こども達の言語感覚にも大きな影響をあたえた。
これが永年のイエ、シス、チツなどの「かなちがい」といわれた方言の泣きどころを一挙に改革する、大きな教育効果をもたらした。子ども達の言語体験、言語環境が洗練され、音韻の変化とともに古くからの南茅部の方言も少しずつ使われなくなっていくのも加速度をまして、方言の死語化が目立ってきたのもこの時期からである。
ことばは変化するものであるから方言もうつりかわる。使われなくなって死語となるもの、新しく流行したり、転意したり、方言は一層共通語の中に姿を消そうとしている。
【資料】
日本語と北海道方言 石垣福雄 北海道新聞社 昭和51
ほっかいどう語 監修五十嵐三郎 執筆大沢哲夫 北海道新聞社 昭和45
北海道のことば(五十嵐先生古稀記念) 北海道方言研究会 昭和56
国語音韻の研究 橋本進吉
全国方言辞典 東條操
日本文法辞典 浅野信
全国方言資料 日本放送協会編 昭和41
東北方言集 仙台税務監察局編 国際刊行会(大正9) 昭和50
青森県方言集 菅沼貴一編 〃 (昭和11) 昭和50
全国方言辞典1・2 平山輝男編 角川書店 昭和58
北海道方言辞典 石垣福雄 道新 昭和58
国語シリーズ28・31 標準語と方言 文部省
北海道漁村方言の研究--南茅部のことばと生活 北海道教育大学旭川分校国語研究室
昭和52
北海道の僻地における言語生活の実態 小野米一 昭和54
--道南南茅部町調査の中間報告--僻地教育研究別刷第33号
おさつべ教育(「尾札部方言考」荒木恵吾)第一号尾札部村教育研究所 昭和34
臼尻村構成言語の実態 臼尻村国語研究部 昭和31
言語指導のための基礎資料 町立磨光小学校(荒木恵吾) 昭和39
尻岸内町史 浜田昌幸 昭和45
戸井町史 野呂進 昭和48
森町史 小林露竹 昭和55