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先生の諱(いみな)は元成、藤原家十一世を継ぐ。頼元協を師(し)とした。
また医術を長崎(ながさき)で池田玄琳に学び帰る。救済の仕事多し。石川氏を娶(めと)る。
先生の天性は孝を規範にしている。父春徳が病に十余年臥(ふ)したが、この間一日中笑顔で慰(なぐさ)めた。人は皆これを教訓(きょうくん)とし称えた。これがついに叡聞に達し、明治十七年緑綬褒章(りょくじゅほうしょう)を賜る。
善行を広く知られ、明治十九年十月十三日病没す。享年六十七歳。訃報(ふほう)を聞き哀悼(あいとう)の誠を捧げない者はいない。
銘にいう、生まれつきの良い性質(せいしつ)で親に仕え、博愛を衆(しゅう)におよぼした真人(真理をさとった人)であった。良い評判が年久しく伝わる。
高田宣 慎んで撰ぶ。