前掲『御用格』元禄十六年(一七〇三)三月条によれば、農民が家を建てるために、山から材木を伐り出す際に、栗・桂・楢の木が底をつきつつあり、そのうえ雑木ばかりでは耐久性が低く困っている、と申し出てきた。そこで明山(あけやま)(藩が利用採取を許可した山林)からの檜(ひのき)の伐採には、料金を納入して伐り出すようにという藩からの計らいであるから、希望者は願い出るようにせよ、という指示が出されている。これは、従来までの農民の建築に利用されてきた材木の種類は、栗・桂・楢などの雑木であったが、それに檜が加えられたことが知られよう。