二十一年(一九四六)十一月三日午前八時を期して日本国憲法が公布された。明治二十二年(一八八九)二月十一日明治天皇が大日本帝国憲法を宣布されてから五八年目、ポツダム宣言受諾の精神に添い、国民の総意を容れて、その名称も「日本国憲法」と改められた。
国民は新憲法を民主憲法と呼び、平和日本再建の大憲章ととらえて公布を喜んだ。同日、市内各国民学校は憲法公布記念式を挙行、校長から新憲法についての訓話があって、児童一同に祝菓が配与された。祝菓の配与は戦争中なかっただけに児童は大喜びで、あたかも新憲法公布の喜びと重なった感があった。市内国民学校の中には、憲法公布記念と名づけて、記念学芸会を開催するところもあって、新憲法の公布は敗戦直後の苦難の中にあった国民に希望の灯を点じた。ちなみに新憲法の実施は二十二年五月三日からである。