日常の市民の足として、弘南バス株式会社の路線網は拡充していく一方で、弘前市を起点とする観光ルートの開拓にも同社は乗り出している。まず、昭和三十四年(一九五九)八月には十和田西線が定期観光路線として開通した。これは、弘前市から黒石市を経て十和田湖畔子ノ口までを結ぶ六七・四キロメートルのコースで、当時の所要時間は三時間三〇分であった。さらに、観光と地域経済の活性化を図ろうと津軽岩木スカイライン構想を打ち出した。そして、四年の年月と総工費二億円をかけて、岩木山八合目までの全長九八〇〇メートルの道路が完成し、昭和四十年(一九六五)八月二十五日に県内初の有料道路として開通式が行われた。
こうした高度経済成長と足並みをそろえるように新規事業の開拓に取り組むとともに、経営の合理化にも尽力し、昭和三十八年十一月には初のワンマンカーが運行された。