総合国土開発審議会の審議

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総合国土開発審議会は、委員のほかに時に応じて各省の関係者を招いて審議を行った。昭和二十四年十月二十九日の第十三回の審議会では、国土開発法の制定に関する答申が審議された。昭和二十四年十月に、国土開発法案(仮称)要綱も作られ、審議された。また、審議会では次の国土計画策定要綱が提案され、審議の結果了承された。
    国土計画策定要綱
本計画は今後凡そ十五ケ年の期間に達成すべき諸目標の総合的計画とし、右計画中昭和二十九年度迄に達成せんとする内容(以下五ケ年計画と称する)をも併せて記載する。
一 計画の内容
今後十五ケ年の期間における日本の経済、社会状態をして順調な進運を遂げしめ、人口の自然増加量は既設都市、農村及び未開発地帯の開発又は再開発により夫々吸収せしめることを前提とし、人口増加に伴い必要な生産の増強、生産コストの低減、国土保全、交通、文化、厚生等の諸施設の整備計画に付いて、関係行政庁の企図する計画を基礎とし総合的に作製する。

二 前項の長期計画はブロック毎に施設の重点及び特性を説明し、長期計画の大綱を鮮明にする。
三 五ケ年計画
五ケ年計画は昭和二十五年度より昭和二十九年度までに完成すべき事業計画で国民の生活水準が消費の面で昭和二十九年までに昭和五年-九年の水準に達すべきことを一応の前提とし且つ二十九年に於ける人口を就業させ、海外市場に於ける経済に耐え得るために必要な産業の規模と生産性を確保することを目標として各行政庁の企図する経済計画及び地方公共団体の意見を照合調整し、其の結果を長期計画図面に記入し且つ之が調書を作成する。(下略)

(総合開発審議会事務局『第二十回総合国土開発審議会議事速記録』一九五〇年)

 この提案は可決承認され、また、審議会の中に多くの専門小委員会が設けられ、審議会のあり方も変わった。審議会が決めた要綱は各省の担当者の間で不評であったので、さらに詳しい計画立案の概要(案)が作られた。それは次のとおりである。
    国土開発計画立案の概要(案)
              (昭和二十五年四月七日)
第一 本計画の基本目標
 一、本計画は今後十五ケ年後を計画の最終年度として此の期間内に於いて日本の経済社会状態をして順調な推進を遂げさせ、十五ケ年後に一億〇〇(ママ)、一九二、〇〇〇人に達するものと推定される人口は之を既設の都市、農村の振興及び未開発後進地域の総合的開発等によって夫々吸収せしめることを前提とし、この人口増加に備えて産業の高度化、特に重化学工業を中核とする工業の積極的拡充と、貿易の振興等を図るための国土の開発保全等に資する交通、産業、文化、厚生等諸施設の整備についての総合的国土計画である。
 二、尚前記の長期計画中昭和二十九年迄の五ケ年間は之を中間計画として経済社会等安定諸状態の速かな振興、災害の防止等に重点を指向し併せて将来の建設の基本となる重要問題特に、電源の画期的開発、未開発重要資源の総合的開発、交通網の整備等について積極的対策を講ずるものとする。尚、その期間に於ける国民生活を消費の面で昭和五~七年の水準に達せさせるものとする。(中略)

(参考)
本計画の性格
 本計画は国土総合開発計画立案の概要第一項及び第二項の趣旨内容を一応の目標とし、今後十五年後に一億に達する人口を国内に収容し、国民生活の向上と経済の自立を図るため予想される諸政策に対し、国土を最高度に利用するための総合計画であるが、同時に今後確立されるべき国策により検討補正されて完成すべき国土の総合的基本計画の第一次の目標試案である。(下略)
(総合開発審議会事務局『第二十三回総合国土開発審議会議事速記録』一九五〇年)

 こうして、ほとんどの省庁がかかわり、地方公共団体をも巻き込んだ国土総合開発計画の基本的な枠組みが出来上がっていったのである。