津軽神楽

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神職だけで演じる神楽であり、藩でも重んじ、人々も尊重してきた。
 伝承演目は、時代や出典によって異なるので表64として示した。この中で、「狂楽舞(きょうらくまい)」は歌詞集が残されており、また下北の能舞(国指定)と同一の演目内容であるので、演劇史の上からも注目に値する。
表64 津軽神楽の演目
曲名現行神楽輯録御遺鑑奥富士物
語御神式
1神入舞×
2宝剣
3磯浪
磯等
4千歳
5榊藁×
6弓立
7天王×
8朝倉×
9湯均舞×
湯平均舞
10御獅子×
11四家舞×
12湯華献備××
13国堅舞×
14木綿幣舞(木綿四手舞)×
15神子舞××
明治六年まで
16若子舞××
17榊舞×
18木綿東女舞××
19御幣座舞×
20阿知女舞×××
21納舞×××
22庭火×××
23木綿阿知舞×××
24宮仕×××
25狂楽舞×××
(平維茂、牛若丸、弁慶、鬼女、恵比須舞、猩々、能坂長範、狐、西ノ宮大神、紅葉狩、兼平、わらび折 等)

 音楽としては各演目に用いる楽器(笛、太鼓、手拍子)の音楽フレーズがあり、それらが配分される仕方も定められている。楽譜も神官たちによって何種類か編まれている。神歌は口承の形態で伝承されている。
 津軽神楽は、正徳四年七月二十一日に行われた高照神社の大祭に奉納されたのが初演である。それが成立した年月、経緯、継承の歴史、伝承演目など、現代に至る変遷は津軽神楽保存会による小冊子『津軽神楽』(一九七八年刊)に詳しい。国の「記録作製などの処置を講ずべき無形の民俗文化財(選択)」を昭和五十一年十二月に受けている。