軍歌

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軍歌は軍人のための音楽であったが、一般市民も歌い、また学校教育の中でも軍歌が扱われたのが「和徳小学校資料」でわかる(明治期に好まれた軍歌については、通史近・現代1、第二章第五節第一項「初等教育」を参照)。
 明治維新のころ、品川弥二郎(しなかわやじろう)(天保一四-明治三三 一八四三-一九〇〇)が作者であるといわれる《宮さん宮さん》が軍歌の始めである。しかし、軍隊組織になってからの軍歌の始まりは《登山囃子》であろうという青森県にちなむ逸話もある。明治十三年か十四年のころ、青森の連隊が矢立峠を越えた時、行路が狂い困難した。そのときに、歌で鼓舞しよう、しかし、まさか盆踊り歌でもあるまいと「さいぎさいぎ どっこんさいぎ」を歌った、それが軍歌のはしりであると説くのである(井上武編『日本洋楽百年史』一九六六年。一八五頁)。軍歌の愛唱歌の一つ《父よあなたは強かった》は黒石市出身の明本京静(あけもときょうせい)(後述)の作曲であった。