平成15年(2003)2月23日 第40回日本選手権大会決勝

写真 機関誌
国立競技場
NEC 36-26 サントリー
NECサントリーを破り創部以来の初優勝
平成14年(2002)度 第40回日本選手権試合
2003年2月23日 G:国立競技場 R:下井眞介 KO 14:00
NEC3626サントリー
1久富 雄一(関東学大)12121長谷川 慎(中大)
2網野 正大(関東学大)24142坂田 正彰(法大)
3東  孝三(鹿児島情報工)3元吉 和中(日大)
4浅野 良太(法大)2T24早野 貴大(帝京大)
5熊谷 皇紀(法大)1G15ジェーミー・ワシントン(ブリスベン工大)
6大東  毅(専大)0PG06北川 新三(関東学大)
7グレン・マーシュ(マヌレワ高)0DG07阮  申琦(明大)
C8箕内 拓郎(関東学大)C8大久保 直弥(法大)
9辻  高志(早大)4T29田中 澄憲(明大)
10岡野 清紀(専大)2G210伊藤 宏明(明大)
11田中 誠士(大東大)0PG011北條 純一(日大)
12川合 レオ(玉川大)0DG012浅田  朗(摂南大)
13ジョージ・コニア(マッセイ大)13アラマ・イエレミア(ビクトリア大)
14窪田 幸一郎(日大)181514吉田 尚史(専大)
15白濱 啓一(山梨学大)15小野澤 宏時(中大)
交代【N】角田道生(日体大)⑤、石井武司(天理大)①、大東功一(東海大)⑩、木下剛(京産大)③、ブレンデン・ニールソン(流経大)⑬、冨沢浩明(関東学大)⑨ 【サ】瓜生靖治(慶大)⑪、若松大志(関東学大)⑥、アルフレッド・ウルイナヤウ(オ工大)⑬、中村直人(同大)③、山口大輔(明大)⑩、大久保尚哉(筑波大)④

 太田治監督、箕内拓郎主将のNECが大輪の花を咲かせた。RWC2007フランス大会の首脳陣である。神鋼との引き分け優勝を機に、3連覇へ挑戦してサントリー時代を築こうとしていた強豪を破った。
 前半はまったくの互角。サントリーは9分LO早野のトライ、22分CTB浅田トライ(伊藤ゴール)に対して、NECは18分、ラインアウトモールでPR久富トライ(白濱ゴール)、35分SH辻のパントをCTB川合がトライして12−12。後半もサントリーが先行、NECが追う展開。サントリーは5分PKからNo8大久保直弥がトライ(伊藤ゴール)。NECは17分HO網野がトライ。26分サントリーHO坂田がモールからトライ(ウルイナヤウ、ゴール)で26−17とリードする。33分NECスクラムサイドを突いてマーシュがトライ(白濱ゴール)と24−26に迫る。35分NECは途中出場のSO大東功のタックルを受けながらのパスが、ディフェンスの背後に走り込んだWTB窪田へ通ってトライ(白濱ゴール)、ついに31−26と逆転に成功した。39分にも窪田がこぼれ球を拾って80メートル独走し、サントリーの息の根を止め、NECフィフティーンの喜びが国立に爆発した。
 スポーツライター藤島大の観戦記から抜粋しよう。「(前略)前半35分、左PR久富の巧みなターンオーバーから定石どおりにすばやく大きく展開、右PR東の感動的なランを経て、SH辻が絶妙のキックを裏へ。CTB川合がインゴールを陥れた。技術。ゲーム理解。判断。執着心。これも見事な得点だ。そして後半33分、勝利を引き寄せたムーブ、スクラムから得意の右8−9−8の『裏』、8−9から内側の7で無人の野を突っ切った。箕内主将の解説。『3日前に辻が考えた。あそこで使おうと言ってきたのはマーシュです』。東日本リーグは5敗の7位。システム重視の方針がやや空回りした結果だ。『コーチングのサイドに問題があった』。太田監督もフェアに認めた。もともと選手が自由闊達に話し合う雰囲気はあり、開き直って、さらに意見交換は活性化した。サントリー対策の前へ出るディフェンスをはじめ、さまざまな議論から『NECの戦い方』は築かれた。再三の猛タックルで顔を凸凹にした辻がつぶやいた。『自分たちで考えてきたから強いんです』。(中略)マン・オブ・ザ・マッチは、ジャパン主将でもある箕内拓郎に尽きる。忘れ難きは、後半16分、辻、白濱のパス、軌道だけで外へ抜き去り、そこから田中が独走、網野のトライを導いた。あれは美しかった」(ラグマガ)。
 いまも語られる東日本リーグ戦7位から頂点に駆け上がった『NECのミラクル7』ストーリーはこうして生まれた。関東学大を大学チャンピオンに導き、ここにまたNEC日本チャンピオンに仕上げた箕内拓郎はすごい男だ。