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(一二二)萬代屋宗安

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 萬代屋宗安利休の女婿で、一咄齋と號した。堺の富豪である。(茶人系傳全集)宗安の好むところの釜を、【萬代屋釜】世に萬代屋釜といふ。(茶事談)珠光傳來の茶入投頭巾、茶壼九重を襲藏した。(數寄者名匠集、堺鑑下)又牧溪筆三幅對の中、布袋の繪に閑翁の贊あるもの、青磁燒物の花入高麗筒、(數寄者名匠集)其他高麗茶盌勢高香爐等の名器、名物を襲藏した。(全堺詳志卷之下)【逸話】曾て貧困者があつて、宗安に金子を願へども與へざるは如何にと問ふた。宗安答へて、先づ錢を願へといふ。然る後宗安は一錢を與へ、錢は願ひ易いであらう、一錢は輕いけれども、之を重ぬると、貧しき人を富める人となすことが出來ると誡めたといふ。(慶長見聞集)【男與四郞】其子與四郞は卽ち利休の外孫で、茶湯を以て有馬侯に仕へた。(數寄者名匠集)