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遠景の山々

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 札幌市の東端、野幌森林公園の百年記念塔付近から西方を望むと、市街地の向こうに北から南へ連なる山並みが奥深く続いている。この山地が、新第三紀から第四紀初頭にかけて、つまり、約二四〇〇万年前から一八〇万年前ころまでの火山活動でつくられた札幌の山々である(写真1)。注意してみると、遠くの山々の形態と近景のそれとはやや異なっていることに気がつく。すなわち、遠景の山々は山頂が平坦になっているのに対し、中・近景の山々は起伏に富んでいるのである。

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写真-1 西南部の山地

 図2からもわかるように、豊平川の上流地域は定山渓あたりで、あたかも扇を広げたように、北から南にかけて、ほぼ一八〇度の範囲内に、小樽内川、白井川薄別川豊平川などの本・支流がみられる。これらの河川の最上流の稜線は、札幌市と隣接する市町村との境界であり、分水界ともなっている。この稜線に沿う山々が遠景の山々である。

図-2 札幌の山々

 それらは、北西から順に、テレビアンテナが林立する手稲山(一〇二四メートル)、小樽市との境界となる奥手稲山(九四九メートル)や春香山(九〇七メートル)、朝里岳(一二八一メートル)、余市岳(一四八八メートル)、美比内岳(一〇五八メートル)、長尾山(一二〇五メートル)、無意根山(一四六一メートル)、中岳(一三八八メートル)、喜茂別岳(一一七七メートル)、蓬萊山(九八〇メートル)、フレ岳(一〇四八メートル)、小漁岳(一二三四メートル)、漁岳(一三一八メートル)、空沼岳(一二四九メートル)、札幌岳(一二九四メートル)などである。
 これらの山々は、尖った山頂部をもたず、たとえば、朝里岳から余市岳をつなぐ稜線のように、山頂部はなだらかな平坦面をつくっていることが多い。いずれも第三紀鮮新世末期(約三〇〇万年前)から第四紀更新世初頭(約一八〇万年前)にかけて噴出した安山岩の溶岩で構成されている。これらの溶岩は、特徴的になだらかな山頂を形成しているので、フラット・ラバ(平坦面溶岩)とよばれている。