この折と思われる申渡しが、幸い残されているので(石狩土人申渡、御収納廉分書所収)、つぎに紹介しておこう。
請負人代
申渡支配人代へ
場所々々支配人其外、詰合役人へ対し売物仕向様之儀致候様相聞候義も有之、右様之義ハ無之積リ兼テ請負人共へ申渡置ニ、等閑ニ心得候如何ノ至ニ候哉及沙汰候、万一此後右様之儀於有之厳重ニ可申付間、此旨急度相弁心得違無之様可致、其外土人共撫育方不行届趣品々相聞如何之事ニ候、是又以後急度相心得役一同厚く扶助致し、別て老人病人幷極貧窮ニテ漁事働も出来兼て致し(ママ)者ハ、別テ心得遣ス様致セ巳五月
場所詰調役へ
この申渡しによると、支配人から詰合役人への贈物(賄賂)、「土人撫育」の不行届が糾弾されており、他の申渡しにはみられないつよい口調である。二件の糾弾事項は、今回の廻浦で明確になったというより、先々の調査で明白になっていた事柄であろう。