製粉事業は五年、雇米人ホルトに
水車器械所に粉磨器械を取り付けさせ、小麦粉の製造を行ったことに始まる。粉磨機を木挽器械所に取り付けたため、麦粉に木屑が混じったり、また小麦の品質を選ばずに混ぜて粉にしたため品質が悪かった。そのため、九年七月新たに
東創成町に一二馬力蒸気缶を備えた製粉所を設けた。原料の小麦は西洋種の赤白二種とし、混合しないようにして製造した。製粉所は十年十二月物産局管理下に入り、風土に適する種子について研究を重ねた。その結果、米国種赤皮白小麦が本道に適し、収量多く色味も他種に優ることを確認した。十二年以後その収穫に力を入れ、製品の移輸出にも力を入れた。九月に製品を東京に送り内外人の品評に供した。麵粉は横浜駐在外商レーン・
クロフォード社の評価を得ている。なお十三年、別に一個の器械を設備し、麩(ふすま)(小麦の皮の粉)を分離する装置を設備した。また原動力に余裕があったので玉蜀黍磨砕器を装備している。なお十二、三年の生産高並びに経費は表9のとおりである。
種目 | 12年 | 13年 |
一番粉 | 斤 | 93100斤00 | 104783斤50 |
価 | 4023円000 | 6442円055 |
二番粉 | 斤 | 1800斤00 | 0斤 |
価 | 54円571 | 0円 |
三番粉 | 斤 | 19782斤00 | 16800斤00 |
価 | 433円140 | 504円000 |
四番粉 | 斤 | 600斤00 | 100斤00 |
価 | 8円100 | 1円200 |
麩 | 斤 | 49780斤00 | 43329斤00 |
価 | 494円697 | 779円922 |
玉蜀黍 | 斤 | 0斤 | 0斤 |
価 | 0円 | 0円 |
合計 | 斤 | 165062斤00 | 165012斤50 |
価 | 5013円508 | 7727円177 |
興業費 | 0円 | 0円 |
営業費 | 4580.579 | 7202.822 |
収入 | 5478.576 | 7817.430 |
営業費差引 | +897.997 | +614.608 |
償還 | 興業費 | 897.997 | 614.608 |
営業費 | 0 | 0 |
欠額補塡 | 0 | 0 |
十五年一月の製粉所の現業職員は職夫四等一人、七等二人であった。
これら製品は市民に払い下げられ、饂飩、素麵の業を営むものも現われた。市民に生活の糧を与え、払下げの要望も多かった。そのため十八年さらに北一条東一丁目に第二製粉場を設けた。そして在来の能率に欠ける石臼式に代え、米国製ローラーを装置し、年六〇〇〇石余の製造を行っている。