九年九月麦酒醸造所内で野性の葡萄から八石程醸造した。糖分は少なく味は培養の葡萄に劣った。翌十年
札幌官園栽植の米国産葡萄が実をつけたので、
フランスの製法にならって醸造した。その味は良かった。翌年九月野性の葡萄、覆盆子(いちご)、獼猴桃(こくわ)等の液汁で穀酒(ウイスキー)、葡萄地(ブランデー)等各少量を製造した。どれもその品位は米国製に劣らず特にブランデーは好評であった。また米や小麦を原料として焼酎も製造した。
十二年六月
作業費出納条例により資本金を七七〇円、
定額金で支弁した家屋、器械の経費二八七五円七七銭二厘を興業費に充てた。さらに十三年興業費二九一円六銭七厘で蒸留所一棟を建築し、同年六月営業資本一二〇六円を増して一九七六円とした。十四年一九九三円八五銭四厘で酒庫及び桶等を造っている。十五年一月の職夫現員は一五人であった。なお十二、三年時の醸造高及び経費は表12のとおりである。
種目 | 12年 | 13年 |
醸造高 | 葡萄酒 | 数量 | 6石190 | 28石030 |
金員 | 297円012 | 1540円339 |
火酒 | 数量 | 5石773 | 4石600 |
金員 | 751円954 | 741円099 |
計 | 金員 | 1048.966 | 2281.438 |
興業費 | 0 | 291.067 |
営業費 | 530.906 | 1844.681 |
収入 | 732.558 | 1844.681 |
営業費差引 | +201.652 | 0. |