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小学校規則及小学簡易科教則の制定

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 明治十九年(一八八六)に北海道庁が設置され拓殖方針等も大きく変更されたが、初等教育行政もまた大きな転換をとげた。ここではそのごく基本となるものについて略述する。
 すでに北海道庁の設置される以前から、北海道の初等教育についていたずらに高尚の学に流れ、実利の学にうといことなどが政府関係者、たとえば十八年に金子堅太郎から提出された『北海道三県巡視復命書』などによって指摘されていた。二十年四月、道庁は庁令第一六号で「小学校規則及小学簡易科教則」を定め、同時に道内小学校のうち一〇校を除く約二五〇校はすべて簡易科に指定され、現市域内でも創成小学校以外はすべて簡易科に指定された。尋常小学校の修業年限は四年であるのに対し小学簡易科は三年で、かつ一日の授業時間が三時間であり、教育の大幅な簡易化が行われた。この簡易科指定に不服の場合は、公立から私立小学校へ移行する例がみられるが、本市でもみられる屯田兵村の場合は、やや事情が異なっているようである。また、道庁自体も次第に簡易科指定をゆるめる方針をとり、簡易科指定の小学校は漸減した。

写真-1 札幌創成小学校(札幌繁栄図録)