この時期、区内の創立寺院は三寺にとどまった。まず新栄寺(真言宗)は、二十年に不動明堂という名で発足した。一般に成田山とよばれ、翌二十一年五月から毎月二十七・八両日の縁日が始まったが、当日は市が開かれ、子供手踊、角力なども行われた。そして翌二十二年十二月、成田山札幌別院として寺号公称の許可を得た。
また北海寺(日蓮宗本成寺派)は、二十一年から布教のため来札した高野日極らによって布教が始められ、翌二十二年に説教所を設置し、翌二十三年六月に寺号公称の許可を得た。本成寺派としては本道最初の寺院といわれる(星野和太郎 北海道寺院沿革史)。以上の二寺も、やはり道内のそれぞれの宗派の基幹的寺院と考えてよいであろう。なお、『北海道毎日新聞』二十一年六月二日付には「北海寺建立」として真言宗の新寺創立の動きがかなり詳細に伝えられ、同月下旬に入仏式および上棟式を行う予定と報じられているが、これについては今のところ不明というほかはない。
ついで三十一年四月に豊川山玉宝寺(曹洞宗)が寺号公称の許可を得た。