ビューア該当ページ

公設市場

564 ~ 565 / 915ページ
 大正六・七年にいたり、日本も世界大戦の影響が出てきて、物価は上昇の一途をたどった。とくに七年夏、米価は思惑買いも入って急騰した。一般市民の生活は厳しい困難に陥り、諸都市では米騒動にまで発展した。北海道庁札幌区ともに、米の廉売を開始し、これが公設市場開設にいたる契機となった。
 札幌区では八年四月、南二条東一丁目に第一公設市場を開設した。これは札幌区民にとってなかなか好評で、なかでも青物売場(青果物・野菜)が成績良好だったので、区会では公設市場に隣接して青物市場を独立・新築することを決定、さらに第一公設市場の清潔をはかるための工事も可決した(北タイ 大9・5・4)。青物市場は九年十月開設された。
 十年十二月の札幌区役所の調査で、札幌の物価が道内六区中(札幌・小樽・函館・旭川・室蘭・釧路)一番高いことが判明した。ことに青物市場についての非難の声が高く、このため区では他の五区の公設市場の標準価格表をもとに、毎月一日と十五日ごとに価格表の交換をして価格の安定につとめた(北タイ 大10・12・20)。
 公設市場開設当初の目的は、米その他の物価暴騰に対処するための社会政策的なものであった。したがって公設市場を直接利用する人びとは、日用品を廉価にかつ品質についても安心して購入できるようになった。また間接には、一般小売商への価格適正化の指導的役割を果たすようになった。
 公設市場は、十一年六月第二公設市場が南六条西四丁目の元遊廓火防線にも開設され、表9のごとく販売価格では二・二倍、買物人員では二・八倍の伸び率を示した。
表-9 公設市場販売状況
公設市場大9.10~10.9大10.10~11.9
第一公設市場販売価格153,930円685 260,755円910 
人員258,520人526,586人
附属青物市場価格41,490円270 65,259円000 
人員133,497人190,804人
第二公設市場販売価格 113,548円486 
人員 382,763人
合計 195,420円955 
392,017人
439,563円396 
1,100,153人
1.第一公設市場開設は大正8年4月1日より(南2東1)。
2.附属青物市場開設は大正9年10月20日より(南2東1)。
3.第二公設市場開設は大正11年6月(南6西4)。
4.『札幌区事務報告』より作成。