表8は十五年以降に届
けられた
札幌市内(
円山町を含む)神道系宗教結社をまとめたものであるが、総計で七二カ所が存在していた。これらの結社は信徒数で最大は三〇〇人、最少は五人(戸)であり、いずれも小規模なものがほとんどである。その中で、御嶽教関係の結社が二〇カ所もあり最も多く、次に扶桑教の一二カ所となっていた。
結社名 | 所在地 | 代表者 | 信徒数 |
黒住教白石講社 | 白石1-2 | 清久豊見 | 11人 |
官幣大社宗教結社惟神会札幌支部 | 北8西15 | 成田藤太郎 | 40人 |
石鎚神社崇敬組合集会所 | 南1西14 | 木野キヨ | 11戸 |
同 同 伊藤集会所 | 南5西11 | 伊藤勝太郎 | 30人 |
神習教敬神講社 | 北10東1 | 須藤サダ | 50人 |
同 北四条講社 | 北4西12 | 村上テル | 50人 |
神乃道教札幌教務庁 | 大通西18 | 田中謹一 | - |
同 札幌布教所 | 南1西11 | 杉原藤治郎 | 50人 |
高山札幌講社 | 南9西10 | 宮崎か志 | 85人 |
金刀比羅宮崇敬会信徒結集所 | 南5西11 | 菊池重雄 | 115戸 |
御嶽教敬神講社 | 北3東3 | 鈴木とめ | 20人 |
同 聖母会 | 南11西6 | 原 槌三郎 | 8人 |
同 神誠会 | 南10西9 | 相沢ひろし | 50人 |
同 八条講社 | 南8西12 | 山本ミナ子 | 150人 |
同 神教宣教所 | 南3西12 | 土佐林金治 | 80人 |
同 龍神講 | 南3西10 | 齋藤フジ | 100人 |
同 岩上講 | 北9東2 | 近藤イワ | 50人 |
同 札幌教会 | 北7東14 | 筒井行信 | 160人 |
同 福神講 | 北3東7 | 寺西みつね | 10人 |
同 誠神講 | 北19西5 | 瀬川モト | 50人 |
同 敬神講 | 南1西12 | 浮田カメ | 10人 |
同 白龍講 | 南6西6 | 広瀬 好 | 20人 |
同 妙徳講 | 白石5-2 | 松田ハル | 30人 |
同 国見講 | 南1東3 | 中嶋はり | 100人 |
同 清正講 | 南14西9 | 長谷川オノブ | 30人 |
同 七福神講 | 北3西21 | 本間よしの | 50人 |
同 豊栄会 | 南13西9 | 後藤藤太郎 | 15人 |
同 修験道豊平御嶽堂 | 豊平2-3 | 武田ソネ | 100人 |
同 弁天講 | 円山南5西3 | 佐々木アキ | 30人 |
御嶽教所属八二稲荷結社 | 豊平3-2 | 高田長太郎 | 50人 |
神道三山敬愛教会所属三山崇敬札幌講社 | 南18西14 | 太田みつへ | 112人 |
生長の家札幌誌友相愛会 | 大通東8 | 原田寅蔵 | 300人 |
神道実行教富士玲瓏信徒結集所 | 北12西4 | 土田正留 | 15人 |
不二札幌鉄北布教所 | 北14西2 | 佐々木藤吉 | 30人 |
不二札幌東布教所 | 南4東3 | 松山しな | 30人 |
松緑神道大和会札幌支部 | 北4西3 | 田沢義雄 | 193人 |
神道豊受講社 | 北12西3 | 柴田サト | 202人 |
皇道至誠会本院 | 南4西9 | 駒ケ嶺大信 | 50人 |
神道大教黒岩講社 | 北2東10 | 黒岩波吉 | 12人 |
神道真心会 | 南11西8 | 大和田長左衛門 | 50人 |
大成教直轄豊受稲荷会東北本部札幌布教所 | 北17西1 | 長谷山トメ | 6人 |
扶桑教八幡祈禱所 | 南4西8 | 利満クラ | 7人 |
同 不動祈禱所 | 南2西5 | 鳥海みん | 10人 |
同 札幌東祈禱所 | 南2東6 | 高井荒吉 | 7人 |
同 八幡布教所 | 南3東4 | 末永豊治 | 16人 |
同 日本魂布教所 | 豊平5-5 | 六友朔郎 | 18人 |
同 白川祈禱所 | 南10西7 | 渡邊吉之助 | 10人 |
同 金剛山祈禱所 | 豊平3-6 | 坂田 淳 | 5人 |
同 三吉祈禱所 | 南5東2 | 大河原ヨシ | 10人 |
同 親善祈禱所 | 南13西9 | 橋本ナカ | 11人 |
結社名 | 所在地 | 代表者 | 信徒数 |
同 瀧不動布教所 | 円山番外地 | 片山浅治 | 7人 |
同 富士山祈禱所 | 円山南3-5 | 神田勝男 | 8人 |
同 白龍祈禱所 | 円山46 | 生駒トメ | 3人 |
同 伏見祈禱所 | 南11西17 | 太田ギン | 8人 |
大社教岩国講社 | 南1東7 | 岩国ハツ | 50人 |
同 八穂講社結収所 | 南4西8 | 山形ハル | 50人 |
石鎚教会崇敬組合石田集会所 | 南4東5 | 石田ミ子 | 15人 |
神道精神奉体臣道実践会 | 南4西12 | 大島筆助 | 100人 |
実行教不二円山布教所 | 円山217 | 井上弥一郎 | 20人 |
同 不二藻岩布教所 | 円山325 | 権平トメ | 10人 |
神道大教三山講社 | 円山15 | 佐藤鉄次郎 | 7人 |
天理教幌西布教所 | 円山34 | 齋藤市平 | 5戸 |
同 西札幌布教所 | 円山291 | 管生周治 | 12戸 |
神道実行教明治敬神教会所信徒結集所 | 北10西1 | 島田安次郎 | 15人 |
同 藻岩敬神教会所信徒結集所 | 円山南1-3 | 阿部ステ | 35人 |
同 札幌不二信徒結集所 | 南4東5 | 藤沢市太郎 | 20人 |
円満教本部 | 北5西15 | 遠藤武雄 | 200人 |
『宗教結社届綴』〔札幌市・円山町〕,『社寺関係書類』(札幌宗教関係書類 道図)より作成。 |
宗教結社の多くは教派神道に所属したものばかりであるが、中には
神道精神奉体運動臣道実践会、
円満教本部のように単立であり、
札幌で独自に創設された神道教会もある。
神道精神奉体運動臣道実践会は南四条西一二丁目に本部を置き、「国民ハ一人々々ガ世界ニ無比ナル我ガ国体ニ伝ハル祭祀ノ生活ヲ徹底的ニ奉行スル事ニ依ッテ、ヨリ完全ナル国体信仰ヲ根底トシタ翼賛ノ道ガ形成セラレ」と、
大島筆助が創唱したものであった。会の目的は「大祖ノ御理想実現ノ為メ聖訓ヲ奉体シ八絋ニ神道精神ヲ揚 (ママ)シ、以テ聖旨ニ副ヒ奉ラムコト」とされ(宗教結社綴 昭15)、神道による皇道主義の実践をめざしていた会であった。
大島筆助は埼玉県秩父郡高篠村出身であり、昭和十五年頃に
札幌での布教に入ったようである(信徒は約一〇〇人)。
円満教本部は昭和十七年九月十日に組織されているが、円満教は
遠藤龍泉(武雄)が大正十年に帝国神秘会
北海道支局長として、「神秘家ノ心霊学弘宣」のために新潟県三条市から
札幌へ転住し、「霊息統一学派ヲ創始シ霊息統一学会長トシテ活躍シ」ていたという。そして「汝ニ円満道人ヲ授ク」という霊夢を得てから円満教を創始し、「日本神道ノ一大躍進的大宗教ヲ企図スルニ至」っていた。「円満教ノ開教ヲ国法的ニ認許ヲ得テ人類社会ニ重大ナル福祉ヲ招来セント」との理由で宗教結社の許可を求めており(宗教結社ニ関スル重要書類 昭16、17)、大和魂大神を奉祭し宇宙人生の安心立命を求める生命派の新宗教であった(北5西15、信徒は約二〇〇人)。