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浅見仙作事件

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 昭和十六年に全面的に「改正」された治安維持法では「国体ヲ否定シ又ハ皇室ノ尊厳ヲ冒瀆スベキ事項ヲ流布スルコトヲ目的」(第七条)とする行為を、容易に処断しうることになった。既述の日本聖教会への弾圧、そして戸田帯刀小野村林蔵らに対する抑圧も、反・非「国体」的な「類似宗教」への弾圧強化の流れのなかにあった。ともに十八年九月のセブンスデー・アドベンチスト事件(金子未逸牧師)と無教会主義者浅見仙作事件もそうであった。検挙時七六歳という高齢にもかかわらず、浅見は札幌署に二〇〇日間も留置されたが、それは無教会キリスト者の「宣布する教理内容には多分に不穏なるものあり、特に極端なる非戦論を説くもの多くしてその宣伝活動は戦時下最も注意を要するものあり」(特高月報 昭19・4)という観点から、全国に先駆けて事件を立件した北海道特高警察の強い意思に起因していた。浅見は第一審で有罪とされたが、大審院では無罪をかちとった。