昭和十二年十月六日、国民精神総動員
北海道実行委員会が組織され、翌日
札幌市公会堂に
北海道庁、
札幌市、
札幌銃後後援会、国民精神総動員
北海道実行委員会共催のもと約五〇〇〇人を集め、戦時体制下をつくりあげるために市民に「覚悟の強調」をうながした(北タイ 昭12・10・8)。十月十三日から一週間、国民精神総動員第一回強調週間が実施された。これは、戦時に対応した国民生活の刷新を中心目的に掲げ、一日ごとに「実施要目」と内容が示され、そのスローガンにそって行動を行うようにされていた。その内容は表43のとおりである。
表-43 国民精神総動員第1回強調週間行事(昭12) |
月日 | 実施要目 | 実行例 |
10月13日 | 時局生活の日 | 戊申詔書を奉戴し聖旨を日常の生活に現わす |
14日 | 出動将兵への感謝の日 | 出動または応召の将兵に感謝慰問状を送る |
15日 | 非常時経済の日 | 生産力を増し無駄を省いて貯金する |
16日 | 銃後の護りの日 | 出動または応召者の家族を慰問手伝う |
17日 | 神社参拝殉国勇士を讃える日 | 皇軍の武運長久を祈り戦死者の墓参 |
18日 | 勤労報国の日 | 職場を尊重し多く働く |
19日 | 非常時心身鍛錬の日 | 心を錬り身体を鍛える |
国民精神総動員運動は、戦時の体制をつくりあげるために展開された「運動」であるが、人びとの「生活」がまず重要課題とされ、「生活の刷新」を標榜し、人びとに戦時生活の実践を次々に働きかけていった。その具体例を十三年の『
札幌市事務報告』でみると以下の六項目である。①国民精神総動員強調週間……国旗掲揚、講演座談会、紀元節奉祝、記念音楽会。②国民貯蓄報国強調週間……貯蓄報国講演会、
貯蓄奨励標語募集。③支那事変一周年記念……一菜主義奨励、一戸一品献納、勤労奉仕、講演会開催。④国民精神総動員経済強調週間……ビラ、ポスター、立看板等により周知、懇談会開催。⑤銃後後援強化週間……御親閲記念式、行幸並御親閲記念講演
映画会。⑥国民精神総動員第二回経済強調週間……講演
映画会、ポスター、立看板等により各学校団体へ周知。
このように、戦時経済への協力が大前提にあり、そのための「貯蓄報国」「献納」「勤労奉仕」が求められ、徹底をはかるためのポスターやビラの配布、講演会の開催、標語の懸賞募集などによる「趣旨宣伝」が行われた。