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昭和三十年代の隆盛

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 昭和三十年代は北海道の風土に根ざした詩誌活動が札幌を中心に展開されるようになった。三十二年十一月創刊の『詩風土』は枯木虎夫井上二美が中心になって北の風土を詩にこめる活動が詩のすそ野を広げるかたちで、渡辺ひろし山内栄二小松暎子などが活躍した。この動きとは別に三十四年二月、『核』が河邨文一郎を中心に強い個性を持つ詩人を厳選するかたちで詩誌活動が広まった。主な詩人として新井章夫鵜川章子小林小夜子薩川益明千葉宣一永井浩原子修文梨政幸古川善盛米谷祐司鷲谷峰雄などを擁した。
 三十五年十二月創刊の『詩酋長』(鷲巣繁男、吉川洋司、帯広の松原良輝)、三十六年三月創刊の『檸檬』(天野暢子、永出みどり、佐藤道子)、三十七年四月創刊の第三次『北方文学』(笠井清、江原光太比良信治、友田多喜雄、吉田美千代)、三十八年二月創刊の『詩の村』(堀越義三佐々木逸郎、山川精、矢口以文)などがそれぞれの個性を発揮するかたちで札幌の詩活動を活性化させた。これらとは別格に全国の詩人に誌面を提供したのが三十一年一月創刊の和田徹三個人誌『』である。純度の高い詩と詩論は日本詩壇に特異な位置を占めた。