札幌市では四十四年六月二十三日の市議会第二回定例会で、長期総合計画策定のための審議会を設置する「札幌市長期総合計画審議会条例」案が可決され(十二期小史)、学識経験者・関係行政機関職員・市議三〇名を委員とする「札幌市長期総合計画審議会」が設置された。
同審議会は四十五年十二月十日、『札幌市長期総合計画書』を原田市長に答申した。これは、第一編計画の前提、第二編都市基盤の整備、第三編社会開発の推進、第四編産業の振興、の四編で構成されている。目標年次は二〇年後の昭和六十五年で、五年ごとに追加補正を加えるものとしている。札幌市は全国第四位の中枢管理機能をもつ都市とされ、札幌市のめざす将来像を「北方圏の拠点都市」と「新しい時代に対応した生活都市」としている。目標年次の人口は一八〇万人と想定されている。多核心的都市形態への誘導、基礎生活圏としての住区構想の推進、用途地区区分による土地利用計画、総合的交通体系と生活環境施設(住宅・上下水道・清掃)の整備、教育・文化とレクリエーションの振興(学校教育・社会教育・研究学園都市・公園・緑地など)、保健衛生と社会福祉の充実(結核予防・成人病予防・児童福祉・母子家庭福祉・老人福祉など)、公害防止と防災体制の確立、冬季生活の開発、中小企業近代化による商工業振興、流通関連施設の整備、観光関連施設の整備、高生産性農業の確立などが具体的施策としてあげられている。
市ではこの答申の主要な目標と基本的な骨格部分をまとめた「札幌市基本構想」案を市議会に提出し、翌四十六年二月十九日の市議会第一回定例会で可決された(十二期小史)。
札幌市では高田市政末期の「札幌総合都市計画」(昭33)以来、都市建設のための長期事業計画を策定し始めていたが、長期総合計画を策定した四十年代なかばは、自治体行政が都市建設事業計画行政から、全国的な地方行政制度に従った一定の住民参加制度を伴うより総合的な計画行政へと移行していく時期であった(表3参照)。
表-3 戦後札幌市の主要長期計画一覧 |
計画期間 | 計画名 | 目指す都市像・課題 | 開始時の市人口・総事業費 |
昭35~44 | 主要事業10年計画 | 都市の骨格となる基礎施設の整備 | 62万人・332億7,500万円 |
40~45 | 札幌市建設6年計画 | 急増する人口への対応 | 82万人・3,350億円 |
42~46 | 札幌市建設5年計画 | 北の拠点都市国際都市としての基礎づくり | 90万人・6,021億円 |
46~65 | 札幌市長期総合計画 | 北方圏の拠点都市、新しい時代に対応した生活都市 | |
46~51 | 第1次5年計画 | 都市の高度化と地域格差の是正 | 105万人・3,400億円 |
51~70 | 新札幌市長期総合計画 | 北方圏の拠点都市、新しい時代に対応した生活都市 | |
51~55 | 第1次5年計画 | 市民生活の質的向上 | 128万人・8,020億円 |
55~59 | 第2次5年計画 | 地域の個性を生かす街づくり | 140万人・1兆2,270億円 |
59~63 | 第3次5年計画 | 分区への対応と21世紀への足固め | 152万人・1兆3,680億円 |
63~平19 | 第3次札幌市長期総合計画 | 北方圏の拠点都市、新しい時代に対応した生活都市 | |
昭63~平 4 | 第1次5年計画 | 都市環境の整備と充実 | 162万人・1兆4,890億円 |
平 4~ 8 | 第2次5年計画 | 躍動都市さっぽろの実現 | 172万人・1兆8,700億円 |
8~13 | 第3次5年計画 | 北の理想都市サッポロの実現 | 177万人・2兆3,600億円 |
12~32 | 第4次札幌市長期総合計画 | 北方圏の拠点都市、新しい時代に対応した生活都市 | |
12~17 | 第1次5年計画 | 人輝き、心響き合うまちさっぽろの実現 | 183万人・1兆8,700億円 |
『札幌市局別事業概要』(平14)、各計画書。総事業費は計画値。 |