「名所図会」は、寺社・旧跡・地名・勝景地の来歴や、街道・宿駅のようすを描き、名所旧跡の挿絵を数多くおさめたものです。今でいう街道筋の観光ガイドブックですが、史書や伝承をいくついか引用し、地誌として、また歴史書としても活用できるものです。
江戸時代の後半になると、交通制度が整備され、経済的余裕が生まれて、多くの人たちが旅にでるようになったこともあり、「名所図会」がさかんに刊行されるようになりました。
文化元年(1804)に、『木曽路名所図会』6巻が刊行されましたが、天保期になって、善光寺道の宿駅を中心に名所古蹟社寺を遊歴して記録にとどめようとまとめられたのが『善光寺道名所図会』です。