42
第一 総則
一、寄宿舎は生徒の品性を陶冶し、共同自治の精神を涵養し、智能を錬磨せしむるを以て目的とす
一、寄宿生は本校諸規則を遵守するは勿論、舎生心得を服膺(ふくよう:心にしっかりとめて片時も忘れぬこと)し舎監の指揮に服従すべし
一、寄宿舎に於ける各役員は、常に共同して生徒心得の実行を奨励し、舎風の振粛を計るべし
一、寄宿生にして退舎を命ぜられたる時は直に退舍すべし
一、寄宿舎は毎年夏期休業・冬期休業・学年末休業中は之れを閉づるものとす
但、休業中と雖も閉鎖せざることあるべし
第二 寄宿舎編制及役員
一、寄宿生を分ちて数組とし、各組に組長1名、各室に室長1名、学友若干名を置く
一、生徒の舎室は舎監之を定む
一、寄宿舎には当直を置き、組長をして輪番之れに当らしむ
一、寄宿舎には炊事委員並に炊事顧問若干名を置く
(改頁) 43
一、室長及び炊事委員、炊事顧問を役員と称す
一、役員は総て生徒の互選により舎監之を命ず
但、炊事委員は舎監之れを指名す
一、各役員の任期は左の如し
一 組長 2ヶ月 一 室長 1ヶ月
一 炊事顧問 2ヶ月 一 炊事委員 1ヶ月
一、組長は舎監の指揮を受けて組内の生徒を指導し、左の事項を司るべし
一、舎監の命令・達示・伝達及び其実行の監督
一、組内の清潔整頓及衛生等の監督
一、火の元取締の注意
一、組内生徒より差出したる願届の取扱
一、其他組内に於ける臨時諸件に関する取扱
一、室長は舎監及び組長監督の下に、左の事項を司るべし
但、室長不在の時は其室の上級生徒之れが代理たるべし
(改頁)
一、室内の整理・貸与品の保管、学友の監督命令の伝達、学友の願届等の進達
一、人員検査及其他検査の際は、部下の学友を指定の場所に整列せしむべし
一、当直の組長は毎日起床時間に於て床替すべし
一、当直組長は舎監々督の下に左の事項を司るべし
一、寄宿舎日誌の記載 一、人員検査表の整理
一、物品請求簿の整理並びに現品の受渡 一、願簿・受診簿の保管
一、郵便物受渡簿の整理及郵便物の受渡 一、命令の伝達
一、寄宿舎全般に関する掃除の監督 一、寄宿舎備付品の保管
一、火の元戸締の監督 一、其他全般の風紀に関する注意
一、炊事委員は舎監の監督の下に左の事項を掌るべし
一、食堂、炊事場、炊事用器具、浴室の清潔整頓を保つ事
一、炊事夫の監督、食品の献立をなすこと
但、食品の献立は毎週間分宛(あて)、毎土曜日迄に之れを調製して舎監の検閲を受くべし
第三 日課、起臥(きが:おきふし、起居)、飯食、入浴
(改頁) 44
一、日課、起臥、飯食、入浴等は総て規定の時間を遵守すべし
一、自修時限中は所定の座席にありて黙読すべし
一、故なく他室に往来し若くは放歌高声をなす事を禁ず
一、就蓐(しゅうじょく:床につくこと)後は談笑を禁ず
一、常に炉火燈火の取扱を厳にし、決して危険の虞(おそ)れあらしむ可(べ)からず
一、生徒の購読せる図書類にして無用有害と認むる時は之れを没収することあるべし
一、寄宿舎所定の日課・起臥・人員検査等の号音は振鈴を以てす
第四 外出及帰省
一、外出は大祭日、日曜日及毎日放課後に於て之れを許す
但し門限は時々之れを定めて掲示す
一、外出の際は制服制帽を着用すべし
一、外出せんとする時は名札を裏返し、帰校の際は之を復旧すべし
一、外出時間以外に不得止(やむをえず)事故ありて外出せんとするときは、願簿に其旨を記載し舎監の許可を受け、帰舎の時は其行先より証明書を得て之を舎監に差出すべし
(改頁)
一、病気の為め帰省治療せんとするものは、校医の診断を経て舎監の許可を受くべし
一、父母の病気其他不得止事故の為帰省せんとするものは、願出の上許可を受くべし
一、外出若しくは帰省中病気其他の故障の為、既定の時間に帰舎し能はざるときは、診断書又は事故を証明したる書面を添え舎監を経由して学校長に届出づ可し
一、凡て一旦帰省して帰舎する際は父母の証明書を持参すべし
一、病気其他の事故にて欠課したるものは其日の外出を許さず
但、特に舎監の許可を得たるものは此限にあらず
第五 疾病及診断
一、病気に罹(かか)り診断を受けたるものは、受診簿に診断医の記入を乞ひ之を舎監に届出すべし
一、舎監は病気の種類によりては校医の意見を徴し、帰宅或は外泊治療を命じ若くは病室に就かしむることあるべし
一、舎監は生徒中に病気ありと認むる時は、校医の診断を受けしむることあるべし
一、病気等の為め規定の時間外に就蓐せんとする者は舎監の許可を受く可し
第六 掃除及整頓
(改頁) 45
一、普通掃除は毎朝、人員検査後及放課後に於て之れを行ふものとす
一、大掃除は毎士曜日放課後に於て之れを行ひ、普通掃除より一層周密に之れを為すものとす
一、臨時掃除は臨時必要に応じて宿舎の全部若くは一部につき之れを行ふものとす
一、廊下階段等の掃除は各室交番に行ふべし
一、舎外及び便所の洒掃は当番を定めて日々放課後に於て之れを行ふべし
一、掃除終りたる時は舎監の検閲を乞ふべし
第七 検査及不時召集
一、検査を分ちて左の3種とす
一、 人員検査 一、 清潔検査 一、 物品検査
一、人員検査は毎朝起床後及帰舎時限に之れを行ふ。但、所定時限以外に臨時之れを行ふことあるべし
一、清潔検査は寄宿舎の内外の清潔整頓及被服等に付きて之れを行ふ
一、物品検査は生徒の所持品及貸与品につき品類員数並に損否につき之れを行ふ
一、物品検査に於て生徒所持品中不適当と認むる時は之れを没収することあるべし
(改頁)
一、非常準備練習の為め不時召集を為す事あるべし
第八 学資金の保管出納
一、寄宿生徒の学資金は左の方法により之れを保管す
一、学資金の保管及出納は校長之れを監督し、各職員分担して其任に当る
一、保管金は保管金台帳・保管金通帳により之れを整理す
第九 食費徴収
一、食費の徴収は毎月末日に於て之を徴収す。但し末日休暇に当る時は繰上とす
一、食費徴収は炊事委員之れを行ふ
一、食費は予(あらかじ)め其翌月の定額を示して之れを徴収し、過剰金は清算後に於て払戻すものとす
一、食費を滞納するものは退舎を命じ、且つ登校を差止むるものとす
但し舎監より猶予(ゆうよ)の許可を得たるものは此限にあらず
第十 炊事
一、炊事は生徒の自炊とし、炊夫を雇ひて之に当らしむ
(改頁) 46
一、炊事全般に係ることは舎監々督の下に炊事委員之れを司る
第十一 共同購買組合
一、本組合は職員生徒より成り、必要なる学用品其他の物品を低価を以て購買し販売する者とす
一、生徒は組合員たるの義務を有し、1人の加入金を金50銭とし之を以て基金に充つ
一、組合長は学校長とし、舎監々督の下に生徒よりなる委員其事務に当る
一、販売は購買切手に金額・品名・氏名・月日・員数を記入し、委員に差出し現品を受け取るものとす
一、前項の金額は毎月25日に於て之れを徴収す
一、切手葉書類は舎内に於て自由販売とし、各人現金を以て之れを購ひ得るものとす
第十二 雑則
一、金銭衣類等貸借を禁ず
一、荷物を舎外に持出さんとする時は、当直組長を経て舎監に申出で許可を受くべし
一、舎内にて集会を為さんとする時は、予め当直組長を経て舎監に申出で許可を受くべし
(改頁)