近畿大学/貴重資料デジタルアーカイブ

シェーデル「ニュルンベルク年代記」

西洋の初期印刷本 ~インキュナブラ~

インキュナブラとは、1454/1455年頃のグーテンベルクの『42行聖書』から1500年末までにヨーロッパで出版された活版印刷術の黎明期の刊行本を指します。
インキュナブラという言葉はラテン語incunabulumの複数形incunabulaで「揺りかご」という意味から転じて「出生地」「初め」を意味します。日本では「揺籃期本」とも称されています。


アウグスティヌス『神の国』

アウグスティヌス『神の国』

ローマ時代末期の教父で思想家のアウグスティヌスの大著。西欧の国家論・歴史哲学理論の形成に大きく寄与しました。本書は1468年にヨハン・メンテリンによって印行されたインキュナブラです。

イシドールス『至上の善について』

イシドールス『至上の善について』

キリスト教の教義や実践の手引が書かれた中世最初の神学書です。著者イシドールスは6~7世紀にスペインでカトリック教会の発展、学問の振興などに貢献しました。

トマス=アクィナス『神学大全』

トマス=アクィナス『神学大全』

13世紀イタリアの最も有名な神学者トマス・アクィナスが晩年に書いた代表的著作です。本書はマインツのペーター・シェファーによって1471年に印行されたインキュナブラです。

アウグスティヌス『神の国』

アウグスティヌス『神の国』

アウグスティヌスの全22巻におよぶ大著。15世紀の初期印刷本のなかでも重要なレパートリーでした。本書は1475年にニコラ・ジャンソンによって印行されたインキュナブラです。

マグニ『格言集』

マグニ『格言集』

フランスの説教者のジャック・ルグラン(ラテン語名:ヤコブス・マグニ)が、詩人、雄弁家、哲学者、神学者らの道徳的な格言を編んだもので、15世紀ヨーロッパ各地で刊行されました。

サクロボスコ『天体の軌道』

サクロボスコ『天体の軌道』

天球とその回転によって生じる現象を説明し、その後の天文学研究に長く影響を与えました。

ユスティニアヌス『法学提要』

ユスティニアヌス『法学提要』

東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の皇帝ユスティニアヌス1世が当時混乱していた法律を統一整備するために編纂させたもの。533年11月21日に施行されました。法学校の1年次生のための教科書としても使われました。

エウクレイデス『幾何学原論』

エウクレイデス『幾何学原論』

1482年に刊行された最初の印刷本。今日でも世界中で使われている世界最古の数学テキストです。
聖書に次ぐベストセラーとして中世ヨーロッパをルネサンスに導いた書物、また論理を組み立てる模範となった書物といわれています。

トゥキュディデス『歴史』

トゥキュディデス『歴史』

古代地中海世界をゆるがしたペロポネソス戦争を主題とした歴史書で、実証的歴史学の礎を築いたとされています。

『ドイツ語聖書』

『ドイツ語聖書』

1483年にニュルンベルクの印行業者コーベルガーによって印行されました。2巻あわせて100以上の木版画があり、第2巻の木版画にはすべて彩色が施されています。

ヒュギヌス『天文詩集』

ヒュギヌス『天文詩集』

ヒュギヌスは紀元前後にローマで活躍した作家。アウグストゥス帝の奴隷としてローマに連れてこられましたが、学識の高い人物で、やがて奴隷の身分から解放され、パラティウム図書館長に任命されました。
本書は、古代ギリシアのエラトステネス系統に属する天文学についての諸理論と、それぞれの星座をめぐる神話と伝説が語られており、十二宮など天体図を描いた47枚の木版画も見応えがあります。ラトドルト社が初版(1482年)で製作依頼した木版画の星座の位置は、本書でヒュギヌスが説明したものや実際の星座の位置とは違っているものの、その後の多くの版の星座図の原型として利用されました。
エラトステネスは地球の大きさ(全周)を初めて測定し地球が球体であると科学的に見出した人物で、約46,000km(実際の値は40,000km)という当時の精度としては驚異的な値を示しました。

ベルゴメンシス『年代記補遺』

ベルゴメンシス『年代記補遺』

最初の重要な絵入りインキュナブラ で、シェーデル『ニュルンベルク年代記』の種本になった書物としても有名です。

シモン『薬物名彙』

シモン『薬物名彙』

13世紀末に活躍した植物学者で生理学者の俗称ジェノアのシモンが30年の歳月をかけて編纂しました。
植物を含む約6,500の医薬用語を収載しています。

ダンテ『饗宴』

ダンテ『饗宴』

ダンテ・アリギエーリは13世紀から14世紀のイタリアの詩人・政治家。イタリア最大の詩人にして、古代ギリシア文学のホメロス、ラテン文学のウェルギリウスと並ぶヨーロッパ最大の叙事詩人。フィレンツェの小貴族の家柄に生まれましたが、政変によって祖国を追放され、イタリア各地を放浪する亡命生活を送り客死しました。キリスト教精神の理想を高く掲げた不滅の古典とされる叙事詩『神曲』は、中世の精神を総合しルネサンス文学の先駆となりました。ダンテの文学が後世へ与えた影響は絶大なものがあり、ブレイク、T・S・エリオットなど英語圏の著名な詩人や作家に影響を与え、日本でも明治以来、上田敏、森鴎外をはじめ、多くの文学者たちがダンテの文学に注目し、かなりの数の翻訳と紹介が行われてきました。
『饗宴』は、『神曲』の執筆前、亡命生活初期の1304から1307年頃に執筆されたと推定されています。当時、文学作品はラテン語で書かれるのが一般的でしたが、『饗宴』はイタリア俗語で書かれています。構想では、知の饗宴とも呼ぶべき百科全書的性格の15篇からなる膨大な作品になる予定でしたが4篇のみで未完に終わりました。カンツォーネ(詩)が冒頭に置かれその注釈が書かれる形式を取っています。
インキュナブラとして現存する『饗宴』は、1490年版が唯一であるといわれていますが、所蔵本はそのうちの1冊です。

ユスティニアヌス『学説彙簒』

ユスティニアヌス『学説彙簒』

東ローマ皇帝ユスティニアヌス1世が帝政初期から500年代までの著名な法学者の学説を編纂させた全50巻の大法典です。533年12月16日に施行されました。

ハルトマン・シェーデル『ニュルンベルク年代記』(インキュナブラ)

ハルトマン・シェーデル『ニュルンベルク年代記』(インキュナブラ)

ニュルンベルクの人文学者ハルトマン・シェーデルが、聖書をもとにして世界の歴史や地理に関することを年代順に記述した大冊。インキュナブラと呼ばれる15世紀後半に作られた最初期の印刷物のなかでも、多数の細密な挿画で有名な貴重資料。1,800に及ぶ挿画や地図がありますが、実際に使用された版木はその三分の一あまりで、人物の肖像や小都市の画は同一の版木を数度流用しています。ラテン語版の他にドイツ語版も同時に刊行されています。本学所蔵本はラテン語版。

『祭礼での行進用歌集』

『祭礼での行進用歌集』

1494年にセビリアで刊行されたキリスト教の諸祭礼での行進の際に歌われた単旋律の聖歌を集録したもの。中世の楽譜に色鮮やかな装飾が施されています。

ガザ『ギリシャ語文法提要』

ガザ『ギリシャ語文法提要』

ギリシャ語文法の教科書。著者のガザは、古代ギリシャ語文献をラテン語に翻訳して、ルネサンス初期のヨーロッパにギリシャ学の知識をもたらしました。

レギオモンタヌス『アルマゲスト注釈』

レギオモンタヌス『アルマゲスト注釈』

2世紀の天文学者プトレマイオス によって著された天文学の大著を、15世紀の天文学者レギオモンタヌスがラテン語に訳して抜粋したものです。

ヤンブリコス『神秘について』

ヤンブリコス『神秘について』

3世紀半ばから4世紀前半の新プラトン主義哲学者ヤンブリコス(イアンブリコス)が、カルデアやアッシリアの魔術について纏めたもの。本書は1497年に刊行されたインキュナブラです。

ボエティウス『哲学の慰め』

ボエティウス『哲学の慰め』

古代ローマの哲学者ボエティウスの著作です。哲学の化身である架空の女性との問答を通して、人間の真の生き方について説いています。

祈祷書『時の祈り』

祈祷書『時の祈り』

ヴェラム(羊皮紙)に印刷されたもので、精密なイラストが全ページに施された見応えのある1冊です。