その他の外国人研究家

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 明治21年の夏、アメリカ国立博物館員ロマイン・ヒッチコックが北海道を訪れ、根室、別海、斜里、網走、常呂、択捉、色丹、浦河、平取、遊楽部の各アイヌ人居住地を調査している。彼は1890年の国立博物館報告に「エゾのアイヌ民族」と「エゾの竪穴住居民」という2つの論文を書いているが、この中に函館のM・アベという人が集めた土器類と土偶の写真が掲載されている。彼は2つの論文に同じ写真を用いているが、それらはアイヌの祖先のものとして、ミルンと同じような考え方をしている。
 また、函館の石器を紹介した人にイギリス人宣教師ジョン・バチェラーがいる。明治10年に来函してアイヌ民族を研究し、著書も多いが、明治34年の『アイヌ人及其説話』に函館公園から発見された石棒の図が掲載されている。この挿図の説明には「伊斯都都伊・石の剣」とある。彼は石器時代の遺物についてアイヌ説をとっているが、シーボルトに始まるこれらの外国人研究家のアイヌ説は、明治41年に英文の『日本先史学』を書いたネール・ゴードン・マンローに引継がれた。

ロマイン・ヒッチコックの報告書“函館在住、アベ氏のコレクション”


ジョン・バチエラアイヌ人及其説話』と石棒(市立函館博物館) 明治16年6月8日函館公園内出土