製材

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ブラキストンの製材所の図(若山徳治郎氏蔵)

 この時代に特筆される工業にブラキストン製材工場がある。これはわが国における最初の蒸気機関による専門的な製材工場ではないかと思われるもので、製材機械とボイラーは、ジョン・ウィルの『回想記』によると、元治元(1864)年スコットランドから喜望峰を迂回して箱館に回送されたものである。ブラキストンはこれをもって、当時の地蔵町(いまの豊川町)の島野市郎治の埋立地986坪を借入れて工場を設け、箱館付近や対岸の下北半島から原木を買入れ、角材や厚材を生産して、主として清国の北は芝罘(チーフー)から南は香港方面の諸港に輸出した。機械装備の詳細はわからないが、江邨老漁筆の絵巻物には丸鋸の外に帯鋸もあり「此鋸十二枚」とあって、刃が縦に12枚並んでいて上下し、1度に12枚の板を挽(ひき)割ることができたものらしい。従業員は日本人の外に機械のことに明るいジェームス・スコットを技術者に雇入れていた。生産量などは全くわからない。(高倉新一郎『新しい道史』所載)