昆布の採取規約

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 道内の昆布地帯では、漁業組合ごとに漁場の区域や採取の時期、採取の方法を定めて、漁場の利用秩序の維持と保全を図っていたようである。
 この地帯でも、各村落(漁業組合)ごとに漁場利用の規約が存在していたようだが、その内容は不明である。ただ、当時の道内昆布地帯には、次のような規制がおこなわれており、この地帯でも、ほぼ同様の規約が存在していたものとみられる。
 
  甲組合ニ於テ昆布採取営業ノ許可ヲ得タルモノ其組合内何レニテモ出船採取スルヲ得ルハ常例ナルモ時トシテ一組合内更ニ地区ヲ分チ互ニ往来セサルノ規約ヲ結ヘルアリ(渡島茅部尾札部村ハ其一例ナリ)又其礁ノ昆布ハ其ノ区ニ於テ何日間採取シタル後ニアラサレハ他区ノモノ入会採取スルヲ得サルコトニ規約或ハ内約セルモノアリ(日高国襟裳岬ニ於ケル状況ハ其一例ナリ)鈎下シ後何日間各自其他地区海面ニ於テ就業シタル後ニアラサレハ互ニ往来採取スルコトヲ得スト定メタルモアリ(渡島国亀田郡尻岸内村或ハ志苔根崎ノ如キモ其一例ナリ)
(前出「昆布採取業報告」)
 
 これによると、①組合の承認を受けた者は、組合の地区内の漁場で昆布採取に従事することができる。この場合、組合内部をさらに地区に分け、採取者を地区内の者に限定する例もある。②他地区の者の入会を認める場合は、まず地区の者が一定程度採取した後でなければ入会を認めない、などの規約が設けられていたようである。