3地点における表面水温を旬別に示したのが図3−17である。中浜の水温についてみると、最低は2月下旬に0.1℃をとり、徐々に昇温しながら8月下旬から9月に19℃台(最高19.6℃)を示す。9月下旬から降温しながら12月上旬に10℃以下となる。3地点の水温を比べると、同様な昇降パターンをとることが判るが、恵山地先でやや低い傾向が窺えた。
図3-17
図3−18に昭和58年の古武井地区の日間潮位差を示した。尻岸内町沿岸の最大潮高は8月に152.2センチメートル、最低潮高は5月のマイナス9センチメートルで年間での最大潮位差は161.2センチメートルとなる。
平磯上の潮位の動向を知るために、平磯上で満潮時の潮位の実測と潮汐表の数値を比較した。この結果、古武井地区の平均水面(M・S・L)が87.0センチメートルに対して平磯面は57.6センチメートル求められ周年の最大干潮時に水面より約60センチメートル露出し、最大満潮時には約100センチメートルの冠水があるものと考えられた。
図3-18
〈文献1〉 むつ市史・平成元年
〈文献2〉 (函館海洋気象台)津軽海峡・海流調査〈大石、松島ら〉p.37
〈文献3〉 磯田 豊、津軽海峡の流れ、Oshimanography, No.4, 1997.9
〈文献4〉 大谷清隆、津軽海峡西部への沿岸親潮水の流入、北大水産彙報、38(3)、1987
〈文献5〉 昭和57年度浅海漁場調査報告書(尻岸内町恵山地区)、昭和57年12月
〈文献6〉 昭和58年度浅海漁場調査報告書(尻岸内町日浦地区)、昭和59年6月
〈文献7〉 昭和59年度浅海漁場調査報告書(尻岸内町古武井、日ノ浜地区)、昭和60年8月
〈文献8〉 昭和59年度浅海漁場調査報告書(尻岸内町豊浦・大澗、女那川地区)、昭和60年8月
*① 「ブラキストン線」明治16年、「北海道と本州の鳥獣類は津軽海峡を境界にしてかなり異なる」、とブラキストン(英)が発表したことによって命名された動物地理学上の境界線。
*② 「大潮」新月及び満月から1〜2日後に潮差(相次ぐ高潮と低潮の海面高さの差)が極大となるときの潮汐