[恵山町の植生]

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 恵山町東部にある恵山火山の山塊地域に生育する種子植物とシダ植物について、「恵山植物誌(1960、宗像英雄・池田忠男)」では600余種が記載されている。
 また、筆者のここ数年の恵山町内での踏査では、未踏査地がありまた見落としも考えられるので全種を網羅した種数とはいえないが、それでも植物目録にみるように700種にちかい植物種の生育が認められた。
 現在、北海道の野生植物は約3000種(変種品種含)とされるので、この700種という数はその1/4にもあたる。
 亀田半島の一角である地にこのように多くの植物種がみられることについては、前記の渡島半島南部の植生特質や気候的特徴に加えて恵山地域の地勢にもあると考えられる。
 恵山町の地勢を概観すると、亀田山脈東端部の海に迫る山塊を境界背地として津軽海峡に面する地であり、そのため内陸部では200メートルから300メートルの山地が並びその間に幾つもの深い沢があって起伏に富み、また約18キロメートルの海岸線は、山地が海岸線に迫る地が多いことで海食崖や岩浜からなるが、尻岸内川と古武井川の河口付近には砂浜地もあり、更に町東部には岬状に海に突出して活火山恵山(618メートル)の火山地形があるなど、立地的に植物たちの生育にとって多様な場(環境)が提供されているためといえる。
 とくに、火山地形をもつ恵山山塊には、標高600メートルほどの地ながら火山という特異な地況や土壌、また海岸気象などが関係して、周辺地では標高1000メートルを超える横津岳や袴腰岳などにみる高山性植物たちが生育している。これも恵山町の植物種を豊富にしている要因の1つであり、また特質でもある。
 *注識…恵山植物誌(宗像・池田、1960)は主に火山山塊部(日の浜地域から椴法華村浜町に通ずる車道から恵山岬にかけて)を対象にしているが、高山性植物種以外の出現植物種は尻岸内地域も共有しているので参考となる数といえる。
 以下に町内の植生状況から次の区分によって概説する。