差上申一札之事
一、御高札之趣は不及申上、前々より被仰渡候御書附之趣堅相守、若違犯之者有之候ハゝ、組合之内より相互ニ心付為相慎、幾度も異見差加え、其上ニも於不相用は、早速申上へき事。
一、喧嘩口論堅相慎可申事。
一、主人えよく仕、親ニ孝を尽し、兄弟妻子従類に親しみ、普請其外祝儀仏事等ニ而親類知音之者相招候節、相互ニ料理ケ間敷儀致間敷、分限相応より質素に可仕事。
一、御林は勿論、銘々持居候少分之山林ニ而も猥りニ伐荒し申間敷事。
一、長崎御用俵物煎海鼠干鮑売買は前々より御停止之事ニ付、弥堅相守可申事。
一、蝦夷地産物抜荷物筋之儀は不及申上、御軽矢羽熊胆皮類并諸国より積渡之諸品、沖之口御番所御改不相済、出所不相知品質取、又は旅人等え取次為相調候儀は勿論、暫時ニ而も預申間敷、都而不慥成品取扱申間敷、若胡乱なる産物取扱候者及見聞候はゝ、時日を不移可申上事。
一、鉄砲猥りニ打申間敷事。勿論在々ニ而前々より鉄砲拝借罷在、熊猪鹿等之為防打候儀は格別、其渡世ニあらす、猟師に事寄、慰の殺生可致ため鉄砲打候之儀、致間敷事。
一、捨子之儀は相互に吟味合、堅仕間敷、若町方在方とも捨子候者有之段、後日ニ相聞候共、早速可申上事。
一、捨子有之候ハゝ、養育致置、早速御役所え訴出可申。右捨子貰候もの有之は、其者様子慥ニ承届候上、其段申上御差図を請、遣し可申候。内証ニて遣し候儀、仕間舗候。
一、御仕置相成候後立帰り候者、又は帳面ニ無之者之類は、縦令親類知音たり共、一夜之宿を貸申間敷候。若穏置候もの御座候ハゝ、早速可申上事。
一、旅人は海陸共沖之口御番所御改も相済、弥別条なき者ニ而、出所并年齢宗旨も相分り候上は、其時宜ニ寄宿為仕可申。尤当所御作法之趣為相守、猥ケ間敷儀為仕申間敷、若逗留之内商売之品或い家業迚も不相知、胡乱ニ見及候ハゝ、不穏置可申出候。且又他領之もの当所住居致度旨申聞候ハゝ、其段申上、兼而旅人之儀ニ付被 仰出候趣堅相守へく事。
一、三笠付惣而賭之諸勝負、前々被仰出候御法度之趣、銘々儀不及申上、召仕男女并旅人等ニ至まて、堅為相守可申事。若又右体之宿仕候而、不宜風聞承り候ハゝ、早速可申上事。
一、新規合船は勿論、古船相求候共、書附を以願上、縦令御改御焼印御座候船ニ而も、内分ニ而譲渡之儀、堅仕間敷事。
一、地借店借ニ差置候ハゝ、其者生国勿論、委細相尋、慥成様子ニ候ハゝ、証人を立、証文取置可申。若無儀不吟味ニ而差置候上、其者悪事候ハゝ、地主家主は不及申上、品ニ寄、五人組之者共まて、急度可被仰付事。
一、男女奉公人之請ニ立候ハゝ、国所親類まて篤と承り届、下請人を取、請人に立可申候。無下猥りニ請人に立申間敷事。
一、見世先又は小路ニ、薪猥ニ積置申間敷事。
一、火之元大切ニ可仕儀は勿論、冬春は別而心を用ひ、昼夜とも相廻り可申候。尤非常之用水組合申合家並心懸置、且内井戸有之者は、表口え木札ニ而井筒之印差出置可申事。
一、出火之節は即刻其場所え罷出、心之及候丈出情相働消留可申。乍去不作法なる儀は至間敷、若又近所合壁より出火有之候ハゝ、銘々無身構火元え駆付消留可申事。
一、衣服之儀は絹紬木綿麻布此内を以分限よりも質素ニ相守、召仕之下男下女等は、衣類帯等迄木綿ニ可限事。
一、宗門帳并五人組帳とも、毎年十一月中、御役所え差上可申事。
右被仰付候御法度之条々逸々承知奉畏候。大小之百姓え毎々為読聞被仰渡之趣堅可相守、若違背仕候者有之候ハゝ、何様之曲事ニも可被仰付候。為其五人組連印之一札、差上申所仍如件。
嘉永七寅年十一月