前に記した法令に基づき改正された村役人について「明治六季 戸井往復」(北海道蔵)は次のように記している。
明治六季 戸井往復(北海道蔵)
民事課
民事課
戸井持塲内村々副戸長並之村用掛り性名別紙ノ通リ御座候間此段御届申候也。
明治六年第九月
開拓使管轄渡島ノ國六大區茅部郡
一ノ小區小安村
副戸長 飯田藤吉
村用掛 石田源右兵衛門
同 巽 権八
同 尻岸内村
副戸長 増輪半兵衛
村用掛 坂井善次
同 西村善次郎
枝々 日浦村
村用掛 米沢清十郎
同 古武井村
村用掛 福沢勝五良
同 根田内村
村用掛 桂井官平
同 椴法花村
村用掛 佐々木弥三郎
同 佐々木久七
同 川口勝次郎
(この報告書に名前は無いが、同書の別項には、戸井村副戸長池田六助の名が記されている。)
以上の記録を検討して気付く点は、六大区一小区に属する村々には、副戸長として小安村飯田藤吉、戸井村池田六助、尻岸内村増輪半兵衛の名前があり、その他の村々には一名乃至二名の村用掛が置かれているが、この時戸長の名前が見当たらないことである。その理由は実際に任命されていなかったからで、なぜかというに、官側では将来小区をいくつかのブロックにまとめ、ブロックごとに戸長を任命しようとしていたが、種々の事情に依り実施されなかったのである。