享保二年(一七一七)ごろの昆布の種類について『松前蝦夷記』は次のように記している。
赤昆布は生の内より色違、紅うこんの如くにて、両脇みゝ笹葉色の如く青く、赤と青との間、本より末まで黄色なる細筋通り申由、是を吟味いたし、献上の昆布と相定申由。
本赤昆布と申は、右の如く常の青昆布の内、千枚に一枚も他目なきものにて候由、青昆布は沢山、是も本末段々分け申候、本能所は赤昆布の如く、不知者は是も本赤昆布と存、尤常の商売の赤昆布は夫を用申よし。
切りと申は本のよき所を取り、末の細き薄き所を伐りとり申よし。
また『北海道漁業史』によれば赤昆布について次のように説明している。
元来赤昆布は昆布の中で品質の下等なものに属し、今日では荒昆布・塩昆布と呼ばれるものであるが、当時は色彩の点で賞せられていた故か珍重せられ献上昆布としてこの赤昆布が用いられていた