次に中川一雄著「昆布の生産から消費まで」昭和二十八年発行(関係部分のみ抜粋)より当時の昆布漁業について記すことにする。(内容としては、昭和十五年ごろから二十四年ごろまでを記す)
まこんぶ (製品は元揃昆布、折昆布)
着生分布区域は渡島国白神崎から函館、恵山岬を経て噴火湾(内浦湾)沿岸より室蘭に至る地区とされている。その内主要産地は函館から恵山岬を経て、砂原、森に至る沿岸であって、恵山岬を大体の境界として函館に至る沿岸が黒口浜、恵山岬から鹿部、砂原に至る沿岸が白口浜と呼ばれ採れた昆布は黒口もの、白口ものと呼ばれて、両者ともに、昆布の王者とされている。特に白口浜の尾札部、川汲、臼尻産のものが有名である。この白口もの、黒口ものの名称は両地区から採れた昆布はそれぞれの特長があり、加工した場合前者は色が白く風味が勝り、これに反して後者は比較的色沢が黒く利用加工方法が異なることから古くより一般にこのように呼称されている。
がこめこんぶ (製品はがこめ元揃昆布、及びがこめ折昆布)
まこんぶと着生分布区域は同じであって主産地は上磯、函館、銭亀沢などである。
みついしこんぶ (製品はみついし長切及び渡島みついし長切通称渡島塩干昆布ともいう)
着生分布区域は渡島国白神岬から函館恵山岬を経て日高沿岸、襟裳岬を過ぎ十勝国白糠までとされている。
渡島産みついし長切は別名塩干(しおぼし)昆布とも呼ばれ、恵山岬から函館までの沿岸で「まこんぶ」の産地とだいたい同じである。