松前方言考に、昆布の産地とその名称が記されている。
嘉永年間には、小安村から臼尻村までに産出する昆布を「濱の内」と呼ぶことを記している。
ハマノウチモトゾロヘ 小安場所から臼尻辺迄の昆布を云ふ。又羽揃と称し、元を揃へ先は其儘で、長さ五六尺に達す。
ミトコロユヒ 昆布を三箇所結ぶ。
シカベモト 鹿部場所の産。
カヤベモト 茅部場所の産。
ヲリコンブ 昆布を一尺七八寸より二尺位に元を揃へ、鼻先の方を折り畳む故に名付ける。多く尻沢辺より小安迄の間に産し、悉く外国五市の品として長崎に積送る為、一把でも他に売買することが出来なかった。
シホホシ 細葉の昆布で目方四五貫程束ねたもの。
ネタナイキリ 前同様で根田内村の産、細葉を三尺余に切る。
ミツイシ、トカチ 前同様、産地の名を称す。
ダコンブ 下品の昆布を二尺余に切り、小束を四つ合せ三ヶ所を結ぶ。
上磯下磯の別あり。外国向。