日本の気候区で分類される地域のうち、東北の日本海側(青森)、日本海側の北陸(新潟)、北海道西部(札幌)、太平洋側の関東(東京)の気象官署地点で地域を代表させる(表14)。
表14 各地の月別平年気温(℃)-気象官署 |
統計期間(1961~1990) |
月 地名 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 年 |
札幌 | -4.6 | -4.0 | -0.1 | 6.4 | 12.0 | 16.1 | 20.2 | 21.7 | 17.2 | 10.8 | 4.3 | -1.4 | 8.2 |
青森 | -1.8 | -1.7 | 1.5 | 7.7 | 13.0 | 16.8 | 20.8 | 23.0 | 18.4 | 12.0 | 6.2 | 1.0 | 9.7 |
八戸 | -1.4 | -1.2 | 2.0 | 8.1 | 13.1 | 16.1 | 20.1 | 22.4 | 18.3 | 12.3 | 6.5 | 1.5 | 9.8 |
仙台 | 1.0 | 1.3 | 4.2 | 10.0 | 14.9 | 18.3 | 22.0 | 24.1 | 20.1 | 14.4 | 8.9 | 4.0 | 11.9 |
新潟 | 2.1 | 2.2 | 5.0 | 10.9 | 16.1 | 20.2 | 24.3 | 26.2 | 21.6 | 15.5 | 9.9 | 4.9 | 13.2 |
東京 | 5.2 | 5.6 | 8.5 | 14.1 | 18.6 | 21.7 | 25.2 | 27.1 | 23.2 | 17.6 | 12.6 | 7.9 | 15.6 |
青森(北緯四〇度四九分)における年平均気温は、九・七℃である。この気温は東京(北緯三五度四一分)より五・九℃、新潟(北緯三七度三五分)より三・五℃低く、札幌(北緯四三度〇三分)より一・五℃高くなっている。単純に緯度差一度あたり、一℃前後差の見当になっている。近隣地の年平均気温は、八戸一〇℃、秋田一一℃、仙台・酒田一二℃となっている。北海道は九℃以下と低温であるが、津軽地域でも九℃台の低温域がある。津軽半島陸奥湾側の蟹田から北部で九℃くらいである。この特徴は夏のヤマセ卓越期間における低温によるものである。全国平均気温は一三℃(理科年表の国内八〇地点平均)である。これを等値線からみると、北陸、北関東から東北南部にかけての地帯になっている。月別平年気温で青森と東京との場合で比較すると、気温差の大きいのは冬と春で七℃前後、気温差の小さい月は八月で四℃、その他の月は五℃くらいになっている。
また、農作業(植物)期間に相当する春・夏・秋について比べると、春では青森が東京より一ヵ月遅れの季節になっている特徴がある。これは、桜(ソメイソシノ)前線の北上する日進差にも現われている。すなわち、青森の四月は東京の三月、青森の五月は東京の四月、そして六月は五月、七月は六月に相当する(ただし、約一℃の前後差がある)。反対に秋冷でみると、青森は東京に比べほぼ一ヵ月早い。東京の九月が青森の八月に、東京の十月が青森の九月に、そして青森の十月が東京の十一月の気温に相当している。このように津軽地域の農作業期間は、東京周辺の地域気候から七月・八月の盛夏期を除いた天候に相当し、暖候期間がいかに短いかがうかがわれる。したがって当地域では、位置的に生じる季節の遅早や期間差を、どう埋めるかの工夫が求められる。
津軽地域と同じ雪国である新潟は、若干低緯度であるほか対馬暖流の影響もあって比較的温和で、青森と東京とのほぼ中間値を示し、年平均気温一三℃は全国平均気温地帯にある。青森は年間を通して新潟より気温は低く、冬で四℃、ほかの季節は三℃くらい低くなっている。新潟は、春が青森より二週間ほど早く、秋冷は二週間ほど遅い。
北海道は津軽地域と同じ北日本圏に区分されることもあるが、年平均気温は札幌八℃。道内全域では五~九℃と一〇℃以下の地域である。青森と札幌との月別気温差は、最も大きい冬で二~三℃、ほかの季節は札幌で一℃低い程度で年変化の状態は、よく似ている。