平成三年(一九九一)九月二十八日早朝、台風一九号は、大型で強い勢力を保ちながら日本海を北東に進み、北海道南部に再上陸した。このころ、青森市で最大瞬間風速、南西の風五四メートル/秒という観測史上なかった記録的な大風が吹いた。このため、県内各地で屋根が飛ぶなど多くの被害が発生。津軽地域でのリンゴの落果被害は悲惨なものであった。
本県にとって、台風の恐さで忘れられないのは、昭和二十九年(一九五四)九月二十六日・二十七日の洞爺(とうや)丸台風で、函館港から青森港に向けて出港した洞爺丸など青函連絡船・貨物船五隻が転覆沈没した事故である。死者・行方不明者一七六一人、そのうち洞爺丸関係者一一三九人という世界海難史上第二の惨事であった。三十余年後の昭和六十三年(一九八八)、惜しまれながら青函連絡船は廃止となり、天候の影響を受けない海底トンネルによる津軽海峡線が開通した。
台風来襲は、一九四〇~一九五〇年と一九六〇年の前後に多かった。前者には、カスリーン台風、アイオン台風、ジェーン台風などがある。後者は、狩野川(かのがわ)台風、洞爺丸台風、伊勢湾台風などの来襲した時期である。その後、名だたる台風は減少したが、前述のように平成三年(一九九一)に猛烈な台風一九号が来襲している。